小林麻央さんの命を奪った「民間療法」の罪

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気功に頼ってしまった

 例えば、がんもどき理論で知られる近藤誠医師のセカンドオピニオン外来へ顔を出していたと噂されたものの、当の近藤氏は、

「それは嘘だ。僕の言っていることに関心はあっただろうけど、少なくとも僕のところには来ていません」

 と否定。更に、「全身がん」で知られる女優・樹木希林が、自身が足繁く通うクリニックへの通院を勧めたと取り沙汰されたが、

「海老蔵さんとはご近所さんですが、交流はないのよ」

 と樹木当人は言うばかり。

 だが、ここへきてその一端が伝わってきたのである。

 事情を知る関係者は、

「気功に頼っていたのです。いわゆる標準治療は全くしていなかったと言います」

 と告白する。

 気功……。がん治療に対し、何ら科学的根拠のないこの療法へ夫妻をそそのかしたものは何か。

波動でがんが消える?

 ウェブ検索すると、「気功でがんが小さくなりました」などと掲げるページが少なくない。そのひとつを主宰する人物に尋ねると、

「50代の女性で“末期の乳がん”と1年前に宣告を受けた方を受け持っています。患部が真っ黒でボコボコ、いまにも“噴火”というか中身がこぼれ出そうな状態になっていました。さる病院で、“もう手術ができないので抗がん剤治療だけやりましょう”と言われたそうです。でも、“治らないのに抗がん剤治療を受けてつるっぱげになって亡くなりたくない。免疫力を高めて欲しい”と、私のところへやってきた。昨年の8月から通っておられるのですが、いまだに仕事もされ、元気に過ごしていますよ」

 どんな施術なのか。

「ベッドで仰向けの患者さんに私の掌をかざして気を通していきます。大きなエネルギーが通る背骨の真ん中を目がけてね。結局、すべての物質は波動から成っている。病気になるのは身体の波動力エネルギーが落ちているから。シータ波が……」

 ……要するに、そうやって免疫力を高めてがんの増殖を抑え込むのだという。

 麻央さんに気がどんどん送られ、免疫力も高まる……そんなはずはなかった。

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