メッツ・藤浪晋太郎の苦境 今季、メジャーで再び登板できる可能性はどれくらいあるか

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千賀―藤浪の“豪華”リレー

 7月14日(現地時間=以下同)のスクラントン戦で、メッツ・千賀滉大(31)は復帰登板し、藤浪晋太郎(30)との「日本人投手リレー」が実現した。マイナーリーグの一戦とはいえ、日本のファンにとっては嬉しい継投だが、

「千賀の状態はあまり良くなかったです。序盤はボールが指に引っ掛かるのか、低めへの直球が全部、ボールカウントになっていました。とはいえ、ブレーキングボール(カーブ)を見せ球にし、バッターのタイミングを外して最少失点に抑えてみせました。一方、藤浪は99マイル(約159キロ)を一度カウントしましたが、スピードは88マイルから90マイル(約145キロ)前半しか出ていませんでした」(現地記者)

 右肩の張りで負傷者リスト(IL)入りしている千賀は、3日の1A戦で肩慣らしの登板をし、その後、藤浪のいる3Aシラキュースに合流した。空き番号の「43」のユニフォームを着ての登板で、この日の先発も「70球前後の調整」と、事前に決められていたようだ。5回途中67球、ランナー1塁で2アウトを取ったところで藤浪にマウンドを譲った。藤浪は連続四球で満塁としたが、続く打者を見逃し三振に。6回もマウンドに上がり、先頭打者をサードゴロに仕留めたものの、次打者に四球を与えて降板した。

「この日はエースの千賀が投げるということで、通常の2倍強、約2000人の観客がNBTバンク・スタジアムに詰め掛けました。千賀がベンチに向かう際、大きな拍手が沸き起こりましたが、後続ピッチャーがFUJI(藤浪)だとアナウンスされたら、スタンドがちょっとざわつきました。いつもの四球で試合が壊れないかと心配されたのでしょう」(前出・同)

 試合後、千賀は地元TV局にマイクを向けられたが、藤浪は完全スルーだった。

藤浪と千賀の明暗

 千賀と藤浪は「60日間のIL入り」の状態で、マイナーのゲームに出場している。藤浪がILに入ったのは、5月13日だった。7月11日に行われた、スクラントンとのダブルヘッダー第1試合で復帰登板を果たしたが、その日がちょうどILの期限が切れる日でもあった。ケガや病気になった選手を、一時期的に選手登録から外すIL制度は日本のプロ野球界にはない。一時は、IL期限切れと共に、「藤波はNPBに復帰するのでは?」との声もNPB関係者の間で出ていた。

 しかし藤浪には、MLBホームページにもあるように「期間経過後も、そのままIL登録状態にしておくことは可能」というルールが適用されている。球団の申告でILに止め置くことができるという。

「藤浪がIL入りした時、メッツは詳細を発表しませんでした。米メディアが『右肩を痛めているようだ』と報じただけです。14日のスクラントン戦で90マイル程度の球速しか出なかったので、調子が悪いのは確かでしょう。でも、実際に試合に出ているので、なぜ続けてIL入りさせる必要があるのか理由がよく分かりません」(米国人ライター)

 千賀、藤浪のいるメッツは、ナ・リーグ東地区3位(18日現在)。同地区はフィリーズがMLB最速で60勝に到達するなど、完全な独走状態にある。優勝こそ厳しいが、「東、中部、西」の各地区のVチームを除く最高勝率チームが争う、ワイルドカードシリーズに進める可能性はまだ残されている。

 2位ブレーブスとのゲーム差は「4」だ。地区2位の最高勝率チームになれるかどうかの瀬戸際にあり、フラッグディール・トレード(7月を期限に、下位に低迷するチームが主力選手を放出し、地区優勝を争っているチームから若手をもらう交換トレード)では、売り手にも買い手にもなれない中途半端な位置にいる。

「それもあって、今季はエースとしてチームを牽引するはずだった千賀の復帰にメッツファンは期待しているんです」(前出・米国人ライター)

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