梅雨の晴れ間、梅雨明けが危険な熱中症 「前夜のアルコールも危険」「シャツの裾は出すべき」

ドクター新潮 ライフ

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プレー前夜の飲酒も危険

 最後に、アルコールです。私は順天堂大学医学部附属静岡病院(伊豆の国市)での勤務経験があり、近隣には多くのゴルフ場がありました。そのため、ゴルフ場で倒れた人がよく運ばれてきたのですが、多くの人はプレー前日に宴会などでお酒を飲んでいました。もしくはアウト(1~9番ホール)とイン(10~18番ホール)の間の昼休憩にお酒を飲んだり、なかには当日の朝から一杯ひっかけてプレーする人もいたほどです。

 アルコールには利尿作用があるため、本人は十分に水分を摂取しているつもりでも、気が付かない間に脱水気味になっているケースがあります。すると、血液が濃くなって血栓ができやすくなり、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす恐れが出てくる。そこに、暑さが加わり、発汗で体から大量の水分が奪われることになれば、その危険性はさらに増大します。

「飲んだのはプレーの前の晩だから大丈夫」という認識は誤っています。血栓ができやすい状態は、前の晩に飲んだ時から継続し、そのままプレーに突入してしまうからです。

 接待としての要素も持つゴルフから、お酒を完全に排除するのは難しいかもしれません。しかし、せめてアルコールは“19番ホール”で――。これこそが今後のゴルファーのマナーになることを、そしてここまで紹介してきた熱中症対策がゴルファーに限らず、夏を安全に生き抜くための日本人の常識になってくれることを願っています。

久岡英彦(ひさおかてるひこ)
順天堂大学医学部総合診療科特任教授。1952年生まれ、順天堂大学医学部卒業。医学博士。2013年から同大医学部総合診療科教授を務め、現在、特任教授。日本内科学会認定医、日本循環器内科学会専門医。循環器病学、スポーツ医学を研究。「スポーツと突然死」に関する論考などがある。

週刊新潮 2024年7月18日号掲載

特別読物「『梅雨の晴れ間』『梅雨明け』が危険 ゴルフ界に学ぶ夏本番前の『熱中症対策』」より

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