梅雨の晴れ間、梅雨明けが危険な熱中症 「前夜のアルコールも危険」「シャツの裾は出すべき」

ドクター新潮 ライフ

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「前腕冷却」

 もし家庭などでミネラルウォーターしかなければ、そこに小さじ1杯の塩を入れ、即席の生理食塩水にして飲むようにしてください。かつて、過酷な高温環境である製鉄所の溶鉱炉の作業員は塩をなめながら働いていたことからも分かるように、塩分摂取は極めて重要なのです。

 さらに物理的に体を冷やすことも、即効性を伴った熱中症対策として推奨されます。中でも、私たちがゴルフ場来場者に勧めているのが「前腕冷却」です。

「国立スポーツ科学センター(JISS)」の「競技者のための暑熱対策ガイドブック」にも記されている方法ですが、バケツなどにためた10~15℃の水に、手のひらから肘の辺りまでを漬からせます。

 手のひらには、動脈と静脈が直接連結している特殊な血管(動静脈吻合〈ふんごう〉)が存在しています。その部分を冷水に浸(ひた)すことで、冷やされた血液が体全体に還流するのです。また、手のひらや前腕部は、体幹部と比べて、容積に対する表面積の比が大きく、熱を体の外へ逃がしやすいという利点もあります。

 もしバケツなどがなければ、冷たいペットボトルを握ったり、手のひらや前腕部に水をかけることでも、熱を体外に逃がす効果が期待できます。

シャツの裾を入れるか入れないかで4℃も違いが

 そして、服装も熱中症対策の重要なポイントの一つです。ゴルフ場にはいくつものドレスコードがあり、例えばポロシャツなどの裾はしっかりとズボンの中にしまわなければならないケースが多い。しかし、熱中症が心配されるこれからの季節に限っては、そのドレスコードは解除すべきだと考えています。

 というのも、ポロシャツなどの裾をズボンの中に入れる(イン)か、入れない(アウト)かの違いだけで、サーモグラフィーカメラで測定すると上半身の体温が4℃も違ってくるという実証実験があるのです。当然、後者の体温のほうが低くなります。

 これだけ効果があるのであれば、命に関わる熱中症対策を考えた場合、ポロシャツをインするというドレスコードは解除すべきでしょう。その代わり、冷房が効いたクラブハウスに戻ってきた時は、ドレスコードを守ってもらうといったようなことで、ゴルフ場としての品位を保てばいいのではないでしょうか。

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