調子の上がらない坂本勇人を思いながら、王貞治さんと話したこととは【柴田勲のコラム】

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球宴前の大混戦

 巨人が東京ドームでの阪神3連戦を2勝1敗と勝ち越して首位を守った。貯金は今季最多タイの「7」だ。

 これで4カード連続の勝ち越しだ。だが首位から4位の阪神まで2.5ゲーム差でひしめいている。球宴前のこの時期、ここまでの大混戦は記憶にない。

 15日の初戦は天敵、ジェレミー・ビーズリーの前に6回まで5安打無得点、おまけに8三振で三塁を踏めなかった。150キロを超えるストレートに多彩な変化球を操る。昨年から苦戦しているが、狙い球を絞っても打てない。簡単に言うと、相手が巨人打線を上回ったということだ。

 後は阪神の救援陣にかわされて2試合連続の完封負けとなった。なんか嫌な感じがしたが、翌16日は山崎伊織の好投もあってなんとか競り勝つことができた。これは大きかった。

 翌17日、巨人は新布陣で臨んだ。坂本勇人を5試合ぶりに三塁・6番でスタメン起用し、主砲・岡本和真を左翼に回した。今季初で3ポジション目だ。打撃好調の大城卓三は一塁・5番だ。外せなかった。

いまだに本塁打頼みの雰囲気

 阿部慎之助監督は「攻撃型布陣」と呼んでいるようだが、別な見方をすれば「苦肉の策」ではないか。

 ポイントはもちろん、左翼・岡本和だ。確かにそんなにヘタではない。守れるならば、守ってほしい。阿部監督にすれば、このような考えがあってのことだろう。

 こんな布陣を組んだのは、ひと頃よりは点が取れるようになったが、いまだに本塁打頼みの雰囲気があるからだ。ここ1週間、ポーンと犠飛が出れば得点できるシーンが何度かあった。でも、失敗するケースが結構目に付いた。さらに言えば、好機を作っても一本が出ない。

 その岡本和が17日には貴重な勝ち越し点を挙げた。ここ直近7勝中、6度目の決勝打だ。何度か言ってきたが、巨人は岡本和が打てば勝つ。野球は4番を中心に回っている。いい証拠だ。

 16日の勝ちは大きかったが、17日も先発・井上温大から船迫大雅以下5投手による継投での1点差勝利もまた大きかった。

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