中国ネット民が「トランプ氏銃撃事件」で大盛り上がりしている本当の理由 「トランプは三国志演義の曹操」「米国を崩壊させる“偉大なるピエロ”」の声

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 米共和党のトランプ前大統領を狙った銃撃事件に世界が衝撃を受けるなか、ひときわ異様な盛り上がりを見せているのが中国だ。事件をめぐり、中国のSNSではトランプ氏を“英雄”視するものが多く見られる反面、そのウラにはある驚きの「本音」が……。

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 米ペンシルヴェニア州での演説中に銃撃され耳を負傷したトランプ氏は、米メディアに対し「死ぬところだった」と間一髪で命拾いしたことを告白。事件から2日後には共和党全国大会でトランプ氏が党大統領候補に正式指名されたことで、今後、“不死身のトランプ”の攻勢が本格化すると見られている。

 各国が速報で報じた衝撃の事件は中国でも大きく取り上げられた一方で、SNS上では独自の盛り上がりを見せたという。

「銃撃直後にトランプ氏が拳を高く掲げた写真と、ウジェーヌ・ドラクロアによるフランスの7月革命を描いた『民衆を導く自由の女神』とを重ねる投稿が大量に出現。暗殺をまぬがれたトランプ氏を〈悲劇の英雄〉や〈アメリカ国民の救世主〉〈真のリーダー〉などと称賛する言葉が並びました」(全国紙外信部記者)

 まるで中国にも“トランプ信者”が大勢いるように錯覚してしまうが、実はハナシはそう単純でないという。

「世界秩序」崩壊の予兆

 中国事情に詳しいインフィニティ・チーフエコノミストの田代秀敏氏が解説する。

「中国のSNS上でトランプ氏が星条旗を背景に拳を突き上げた写真とドラクロアの『民衆を導く自由の女神』を並べたショットが多く出回っている背景には、銃撃事件を契機としてアメリカを中心とする世界秩序が崩壊することを黙示しているとも囁かれています。というのも1830年に起きた7月革命によって、1815年に王政復古したフランスのブルボン朝は1789年につづき再び打倒され、フランス革命以前のヨーロッパの世界秩序を回復した『ウィーン体制』も崩壊。そんな歴史的経緯も踏まえ、今回の事件とオーバーラップさせていると指摘する声が一部にあります」

 実際、銃撃事件後にアメリカ国内で行われた調査では、有権者の80%が「米国は制御不能なカオス(混沌)に陥っている」と回答。また共和党支持者の65%が「トランプ氏が一命を取りとめたのは神の摂理によるもの」と答え、アメリカ社会を覆う“分断”の深さを改めて浮き彫りにした。

 もう一つ、暗殺の危機にさらされたトランプ氏に対し、中国民衆が“熱狂”した理由に、あの三国志の「英雄」も関係しているという。

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