【全英オープン開幕】「まだまだ勝てる」ウッズは“引退勧告”を一蹴、シェフラーは久しぶりの実戦 気まぐれリンクスコースを制するのは誰か

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日本勢はマスターズ覇者の松山英樹ら

 今年の全英オープンに出場するリブゴルフ選手は、デシャンボーを筆頭に、ブルックス・ケプカ、ダスティン・ジョンソン、フィル・ミケルソンなど総勢18名だ。全米オープンをデシャンボーが制し、全英オープンでもリブゴルフ選手が勝利を挙げたら、ゴルフ界にもたらす影響は多大なものとなるはずである。

 初出場選手は37名、アマチュア選手は12名という数字は、若さと勢い、そしてゴルフが広く普及していることを如実に物語っている。

 日本勢はマスターズ覇者である松山英樹を筆頭に久常涼、中島啓太など8名が出場する。昨今、日本の女子選手は次々にメジャー優勝を挙げているが、男子選手は松山のマスターズ優勝が唯一のため、日本男子によるさらなるメジャー優勝が期待されている。

 期待と言えば、全英オープンを過去に3度も制した王者タイガー・ウッズは、周囲からの期待はもはや高くないものの、本人は「まだ勝てる」と信じている。

 しかし前週に、スコットランドで英雄視されているコリン・モンゴメリーから「引退勧告」を出され、今週は大会開幕前の会見で、英国メディアから「引退を考えるべき時期だと思うか?」と辛辣な質問を投げかけられた。

「60歳になるまでは出場資格を持っている」

 だが、いろんな意味で百戦錬磨のウッズは「僕は全英オープンの過去の優勝者だから、60歳になるまではこの大会に出場できる資格を持っている。でもモンゴメリーは全英オープンで優勝したことはないから、出場資格もない。だから、全英オープンからいつ引退すべきかを決断する機会すらない」と皮肉を込めた返答で上手く反撃し、自身の勝利に対する熱い想いを語った。

「僕はプレーできる限り、プレーする。そして、まだまだ勝てると感じている」

 1997年大会では24位タイ、2004年大会では9位タイ、そして2016年大会は欠場したウッズがロイヤル・トゥルーンでプレーするのは、実に20年ぶりだが、準備は万端の様子である。

「60度のウェッジはバンスの少ないものを使う。3番アイアンのロフトは低弾道のショットでランも稼げるよう、1度立てた。グリーンはとてもスローなので、パターに鉛を貼って対応する」

 そして、ウッズはロイヤル・トゥルーンをこう評していた。

「前半がフォローの風でイージーだと感じたら、折り返し後の後半はアゲンストの風できわめて難しく感じるはずだ。その逆になることも、もちろんある。半分は難しい状況を強いられるコースだが、その代わり、逆側の半分はグッドスコアを出すことができるコースだ」

 それがロイヤル・トゥルーンであり、それが英国リンクスらしさだとウッズは説いていたのだが、果たして今年、そんな気まぐれなリンクスゴルフを制覇するのは誰なのか。

 間もなく、開幕である。

舩越園子(ふなこし・そのこ)
ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学客員教授。東京都出身。早稲田大学政治経済学部経済学科卒。1993年に渡米し、在米ゴルフジャーナリストとして25年間、現地で取材を続けてきた。2019年から拠点を日本へ移し、執筆活動のほか、講演やTV・ラジオにも活躍の場を広げている。『王者たちの素顔』(実業之日本社)、『ゴルフの森』(楓書店)、『才能は有限努力は無限 松山英樹の朴訥力』(東邦出版)など著書訳書多数。1995年以来のタイガー・ウッズ取材の集大成となる最新刊『TIGER WORDS タイガー・ウッズ 復活の言霊』(徳間書店)が好評発売中。

デイリー新潮編集部

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