貝類、化粧品、飲食チェーンの包装紙…水道水以外にもこんなにあった! 発がん性物質「PFAS」の意外な潜伏先
日本各地で次々と「PFAS(ピーファス)」の汚染が明らかとなっている。ようやく政府は健康リスクを認めたが、実は気を付けるべきは水道水だけではない。化粧品や衣料品、そして食料まで、われわれの身の回りにも危険が潜んでいるのだ。(以下は「週刊新潮」2024年7月18日号掲載の内容です)
【画像】専門家から「緩過ぎ」の声!? 国が示したPFASの1日摂取量の上限
そもそもPFASとは、約1万種あるとされる有機フッ素化合物の総称である。WHOでは「発がん性」物質と認定され、人体に取り込まれると蓄積されてしまい、腎臓がんや高コレステロールを伴う脂質異常症、胎児・乳児の発育低下などさまざまな健康リスクが指摘されてきた。
そんなPFASの中でも、特に有害性が高いとされるのは、パーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS〈ピーフォス〉)と、パーフルオロオクタン酸(PFOA〈ピーフォア〉)と呼ばれる二つの化学物質。国際条約の規制対象で、すでに日本でも輸入や製造が禁止となっている。このほか、PFOSとPFOAの代用品であるPFHxSというものもある。
ここ数年、これらのPFASが日本各地の河川や地下水などの「水源地」で検出されて騒動となっているが、注意すべきは「水道水」だけではない。
「人間がPFASにさらされる経路としては、水道水が主ですが、これが全てではありません」
とは、日本におけるPFASの汚染実態をいち早く調査、研究してきた京都大学名誉教授の小泉昭夫氏。
「PFASには耐熱性、撥水・撥油性、紫外線への耐性などの特徴があります。熱に強く水や油をはじく性質を利用して、さまざまな日用品にも使用されているのです。問題なのはその残留性。PFASの化学結合は非常に強く、多少の熱や紫外線にさらされても壊れないため自然界ではほとんど分解されません。ゆえに土壌や人体にも長年蓄積されてしまうのです」
[1/2ページ]