交際をすっ飛ばして「プロポーズ」!? 僧侶・小田隆勝さんが“一大決心”で思いを伝えたのは「運命の人」だった

国内 社会

  • ブックマーク

 プロポーズから始めよう――。どこかの曲のタイトルめくが、このフレーズを現実のものにしたのが、東京は港区三田にある真言宗「弘法寺」副住職、小田隆勝さん(35)と広報部の安希与さん(30)だ。隆勝さんは小田家に婿入りしたのだが、これは紛うかたなき因縁、仏のお導きである。

意外なきっかけ

 出会いのきっかけは隆勝さんの母・幸(みゆき)さん。隆勝さんいわく「普段は滅多に本を買わない母」が昨年、ある本を購入する。安希与さんの母・海光さんの著書だ。

 幸さんは「作者に会ってみたい」と言った。8年前に高野山で阿闍梨(真言宗の僧侶資格取得者)となっていた隆勝さんが調べると、著者は弘法寺の尼僧と分かる。昨年7月に寺を訪れ、海光さんと面会。すっかり心酔した幸さんは、寺が運営する「仏道学院」へ9月に入学。隆勝さんも、海光さんの夫で管長を務める全眞さんの講座に2日間、参加することにした。

 講座初日、隆勝さんは全眞さんから安希与さんを紹介された。朝方、寺に向かう自分を追い抜いた女性が気になっていたが、それが安希与さんだった。安希与さんも海光さんから「すごくいい青年」と聞かされていた通り、好青年だと感じた。

 隆勝さんはやがて、全眞さん夫妻や、寺の代表で映画「おくりびと」の納棺技術指導を行った木村眞裕さんから口々に「ぜひお寺に来てほしい」と頼まれ、愛媛から上京。11月から弘法寺の僧侶となることを決めるが、10月10日、島根県は出雲での「神仏習合記念神事 平和の祈り火渡り」へ隆勝さん、安希与さんも急きょ、参加することになった。

 そこでひとつの変事が。

 前夜祭で関係者と、普段あまり飲まない酒を飲んだ安希与さんは酔ってしまう。隆勝さんは彼女を介抱し、宿泊先の部屋へと送り届けた。隆勝さんは「一緒になる運命だ」と感じた。ただし、安希与さんは何も覚えていなかった。

「これはプロポーズです!」

 じつはご両人のお母さまらの間に、当人同士をくっつけようとする動きはあったが、二人きりになる状況などない。隆勝さんもまた「(関係を)どうやって進めたものか」と悩んでいた。

 12月半ば、食べたいものが一致した! インドカレーを食べに行くも、お釈迦様のご加護も空(むな)しく、デートと呼べたかも怪しい日に。

 12月24日、開かれた寺として知られる弘法寺ではクリスマスイベントが催された。終了後のカラオケ大会。木村さんからマイクを渡された隆勝さん、曲を入れずに「みなさん、お時間よろしいですか」と、安希与さんをステージに招く。ただならぬ雰囲気に。安希与さんも「え? ドッキリ?」とうろたえるばかり。

 隆勝さんは、出雲の火渡りでお加持した数珠を「一大決心です。ぜひ受け取っていただきたい。これはプロポーズです!」と手渡し。どよめきに包まれる中、彼女は戸惑いながらも「あ、ありがとうございます」。

 そう、二人はプロポーズから始まったのだ。

次ページ:奇跡の因縁

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。