香港の“のりピー”ファンに異変… 高額チケも即完売の「酒井法子」公演ルポ

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「のりピー」呼びではなく…

 客層を見ると6~7割が地元のファンだったが、驚いたのはその年齢層の幅広さ。会場を見渡す限り、20~30代のカップル、またはその世代の女性ファンが目立った。公演中の様子をSNSでツイートする姿が多く見受けられたのも、いかにも若い。だが、よくよく考えてみると、あの大ヒット・ドラマ「星の金貨」(日本テレビ系=95年)からは明らかに外れた世代なのである……。

 一体、どういうことか。2000年にのりピーが初めて香港公演を開催した際に、空港からそのすべてを追い続けてきたという香港の新聞の元記者は「親の影響があるのではないか」と指摘する。つまり、親が「星の金貨」世代の「のりピーファン」だったことが大きい。時代が流れて、今や「二世ファン」が増えたというわけだ。

 会場で、彼女を「のりピー」と呼ぶファンが全くいなかったことは印象的だった。誰と話しても「法子」と言うし、声援も「法子」である。このことからも従来のファンではない、ファンの若返りを実感した(筆者は、本稿ではあえて「のりピー」と記しているが……)この光景にのりピーは「言葉や文化は違っていても、たくさんの人たちが来てくれるのは嬉しい」と顔をほころばせていた。

全21曲を熱唱

 コンサートの内容にも触れておくと、ステージは4人の女性ダンサーを引き連れての「友情キッス」で幕を開けた。この曲はのりピーからの応援歌。続けて「あなたに天使が見える時」、そして99年に発売した北京語作品「早安的空気」を歌うと、会場内のボルテージは一気に高まった。ファンのひとりは「法子の曲を聴いていると元気が出るし、悩みも吹き飛ぶ」「初めて生の法子を見たけど、可愛いし、今まで以上にハマってしまった」などと興奮気味だった。

 この盛り上がりにのりピーが「こんなにもたくさんの人たちが私を待っていてくださったなんて、もう超嬉しくて、泣いちゃいそう」と心境を語ると、会場からは地鳴りにも似たような声援や歓声が上がった。

 また、神妙な面持ちで「デビューして37年が経ちましたが、そういった中で一時は、全てを諦めようと思ったこともありました」と語り出す場面も。そのうえで「みんなの声援や支えもあって、新しい歌も出来て、また歌い続けることが出来ています。本当に幸せです」と語ると、会場からは「ジャヨウ(頑張って)」と声援が上がっていた。

 20時半にスタートしたコンサートは2時間半にわたり、アンコール曲の「碧いうさぎ」まで全21曲を熱唱した。詰めかけたファンも満足顔で「最高のステージだった」「毎年、香港でコンサートをやってほしい」と口々に語っていた。

渡邉裕二(わたなべ・ゆうじ)
芸能ジャーナリスト

デイリー新潮編集部

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