「動機が見当たらない」 川崎重工、潜水艦乗員への金品供与問題の不可解な点とは

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 川崎重工業が下請けとの架空取引で裏金を作り、海上自衛隊の潜水艦乗組員に金品を供与していたとされる問題。贈答品の中には、ゲーム機やおそろいのTシャツまでもが含まれていたという。だが、驚愕(きょうがく)の実態が明らかになる中で、いまだに解明不能な深い謎が存在するそうだ。

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 今回の問題は大阪国税局の税務調査で発覚した。今月3日、川崎重工と防衛省がほぼ同時に発表を行うや否や、各メディアの報道が相次いだ。川崎重工には過去6年間で十数億円の申告漏れがあり、追徴税額はおよそ6億円にも上るとみられている。

「ガサが入るような事態になれば…」

「潜水艦の乗組員は予算に関する決裁権を持っているわけではありません。よって今回、海自と川崎重工の双方を贈収賄罪に問うことまでは難しい。今後、防衛省は特別防衛監察によって約1500人の乗組員を調べるなどして、自衛隊員倫理法違反に該当する者がいれば、処分する流れになるでしょう」(社会部記者)

 となると、一方の川崎重工については、

「大阪、もしくは東京地検の特捜部が捜査を進める可能性が考えられます。その場合、裏金の責任者を背任罪で立件することを目指すのではないか。ポイントになるのは、役員クラスをはじめとする新旧の上層部まで特別背任罪に問えるかどうかです。今は捜査が始まっているかすら判然としない段階ですが、仮にこの先ガサが入るような事態になれば、日本の防衛産業の一角を担う川崎重工に激震が走るでしょう」(同)

見当たらない動機

 海自の潜水艦は極めて秘匿性が高く、その建造と修理を請け負えるのは川崎重工と三菱重工業の2社だけだ。防衛省はこの両社から隔年で交互に潜水艦1隻ずつ調達しており、修理は建造した社が担う。

「今回、最大の謎として指摘されているのは、川崎重工側が海自側に金品を供与する動機が見当たらないことです。それは海自の潜水艦乗組員に予算の決裁権がないからだけではありません。そもそも、潜水艦はあらかじめ国策で2年に1回の受注が決まっているわけで、川崎が海自に“営業努力”をする必要がないのです」(海自の関係者)

 推論の一つとして挙げられるのは、以下の内容だ。

「川崎重工や三菱重工の“工事担当”と呼ばれる技術者は、普段から海自の乗組員と一緒に潜水艦に乗り込み、点検などの作業を行っています。ドックでの修理の際も、両者は長期間を共に過ごすことになる。潜水艦という海自の中でも特殊な外部から閉ざされた世界では、同僚のごとく近しい官民が、古くからの癒着構造を残してしまったのかもしれません」(同)

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