妻にナイショで“二重家庭”を続けて早9年 そろそろバレそうな「46歳夫」の綻び始めた生活

  • ブックマーク

妹に打ち明けようとも思ったが…

「つい先日、妻を紹介してくれた妹から『おにいちゃん、なんかヘンなことしてないよね』とLINEがきたんです。ヘンなことって何だよと返したら、『友人が最近、おいしい店見つけたって言って送ってくれた写真に、おにいちゃんみたいな人が写ってるんだ』と。写真を見せてもらったら、確かに僕。舞耶とふたりでデートしたとき行った店なんです。ぼやけているから否定もできたんだけど、『仕事先の人と流れで食事しただけだよ』と返信しておきました。食事風景だけで変な疑いをもつなと言うと、『茉利奈さん、おにいちゃんのことちょっと疑ってる気配があるからさ』って。茉利奈は出産時に退職したんですが、今は前の職場でパートとして働いているんです。だから妹ともずっとつきあいがあり、ふっとそう漏らしたらしいんですよ」

 疑念が積み重なれば、人は真実を知りたくなる。茉利奈さんに疑われて調べられたら、すべてが明るみに出てしまう。舞耶さんが動じることはないだろうが、茉利奈さんのショックは大きいはずだ。妻を傷つけるつもりはないから、それだけは阻止したい。妹にすべてを打ち明けようかと一瞬、思った。

「でもやっぱり言った瞬間、公になってしまうと口をつぐみました。こうやって、いろいろなところから情報が漏れる時代だし、どうしたら秘密を守れるのか、今は自信がなくなってきました」

 バレるのは時間の問題かもしれないという危機感がある。それなのに自分だけは秘密を守りきれるのではないかと楽観している自分に気づく。「常識から外れた」行動をとっているのはわかっているが、だからといって誰かに迷惑をかけているわけでもないと開き直る気持ちもある。

「悩み始めると底なし沼に落ちますね。僕はどちらの女性とも別れたくないし、子どもたちの成長を見守っていきたいだけなんです……」

 こういう話を聞くと、一夫一婦の結婚制度には限界があるのかもしれないと感じる。一妻多夫、一夫多妻。あるいは現行の結婚制度ではない関係に惹かれていく人たちは案外、多いのかもしれない。

 この生活をいつまで守れるのか。貞則さんは、もう一度気を引き締め直しますと真一文字に口を結んだ。

 ***

 珍しい「二重家庭」を維持してきた貞則さん。そもそも彼が育った家庭が、なかなか複雑なものだった……【前編】でその様子が紹介されている。

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 3 次へ

[3/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。