妻にナイショで“二重家庭”を続けて早9年 そろそろバレそうな「46歳夫」の綻び始めた生活

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「どちらも僕にとっては大事」

 子どもが生まれてから9年。舞耶さんとの間には、もうひとり男の子がいる。その子も来春、小学生になる。この間、ずっとふたつの家庭を維持してきた。住んでいる場所が離れているので、娘と息子の小学校では運動会の日が違う。だから両方とも参加できる。たまたま行事が重なったときは掛け持ちする。

「婚姻届を出した家庭と出さなかった家庭。どちらも僕にとっては大事なんです。舞耶は寛容だから、いろいろなことを許してくれるし、あちらを大事にしてと言うけど、本音は『こっちも大事にして』だと思う。『あなたにとって、子どもの重さは同じよね』と確認されたことがありました。もちろん同じです。そして妻も舞耶も大事。そこに優劣はない」

 収入の多くは茉利奈さんに入れているが、舞耶さんにも多少なりとも渡している。会社の業績が上がったとき出た一時金は、舞耶さんとの第二子が産まれた直後だったのですべて彼女に渡した。もっと稼げればいいのにと思うこともあるものの、茉利奈さんには実家がついているし、舞耶さんは彼以上に稼いでいるから、その点は甘えるしかない。

「どちらの家でも子どものめんどうをみたり家事をしたりと、せっせと働いてきました。僕を必要としてくれる人たちがいるのがありがたい。その分、愛情で返すしかないんですけど」

 コロナ禍でリモートワークが増えたときでも、彼は部下たちに在宅の指示を出して、自身はなるべく出社していた。出社しないと舞耶さんのところにも行きづらいからだ。今は通常出社しており、ここ2年ほどはまた出張にも出るようになった。

最近、綻びが…

 ところが長年、同じ習慣を続けていると、人はどこか鈍化するのか。最近、貞則さんは立て続けにミスを犯している。

「春に海外に出張にいくとき、いつも通り舞耶のところに前泊するつもりで荷物を作っていたんです。妻がさりげなく、『明日は何時の飛行機?』というので『午後2時くらいだったかな』と言ったら、『だったら空港近くのホテルに泊まらなくても、家から行けるじゃない』と。すっと血の気が引きました。そうですよね、当然。とっさに『でも疲れるからさ。最近、年のせいか疲れがたまるんだ』と、やたら“疲れ”を強調してしまった。僕、ふだんは絶対に疲れたと言わないようにしているんですよ。だから茉利奈は、『ふうん、あなたも年を感じるようになったんだ』と不思議そうに言っていた。しまったと思ったけど、そこで余計なことを言うとさらに墓穴を掘りそうだったので黙りました」

 その後、息子たちが野球を観に行きたいというので、4人でプロ野球観戦に行った。最近は客席がスクリーンに抜かれることもあるので気をつけてはいたのだが、どこかのタイミングで息子たちが映ったようだ。隣にいた貞則さんも一瞬、映ってしまった。

「翌日会社で、『昨日、映ってましたよ』と言われて心臓が止まりそうになりました。一瞬だったからわからなかったけど、ご家族で行かれたんですかと聞かれて。『うん、近所の子たちを連れて』と言っておいた。うちは娘だから、もし男の子が映っているのを見られていたらまずいと思って。地上波のテレビではないし、妻と娘は野球に興味がないから見ていないと思いますが、今後も野球観戦には行く予定があるので気をつけないと……」

 どこで誰が見ているかわからない。すでに舞耶さんの自宅近辺にある飲食店などでは、4人がすっかり家族として認知されている。万が一、それを茉利奈さんの知り合いなどに見られたら大変なことになるだろう。

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