“妻”はふたり、それぞれに子供も…「自然とそうなっちゃった」 46歳夫が「二重家庭」を築きあげるまで

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【前後編の前編/後編を読む】妻にナイショで“二重家庭”を続けて早9年 そろそろバレそうな「46歳夫」の綻び始めた生活

 ドラマ『夫の家庭を壊すまで』(テレビ東京系)が話題になっている。放送初回では、夫がもうひとつの家庭をもっていると気づいた妻(松本まりか)が復讐を誓ったところが放送され、その決意のほどがうかがわれるシーンに視聴者は戦慄した。夫の嫌いないんげんをまな板に並べて、包丁を振り上げてぶったぎる妻……。「許せない」とつぶやくその目の力。

「そのドラマ、見てないですよ、僕は。見られるわけないじゃないですか」

 苦笑いを浮かべてそう言うのは、堀田貞則さん(46歳・仮名=以下同)だ。彼自身、ふたつの家庭で生活をしている。「二重家庭ですね」と笑う。

「自分でそうしようと意図したわけではなく、自然とそうなっちゃったんですよ。もちろん、婚姻届を出した妻も子どもも、このことは知らない。“彼女”は知っていますが、彼女との間の子どもにはまだ知らせていません」

 つまり、彼にはふたつの家庭があり、それぞれに子どもがいるということだ。どうしてこういうことになったのだろう。

超複雑な貞則さんの生育環境

「僕自身、生まれ育ちがけっこう複雑なんです。とある地方の県庁所在地で生まれてすぐ、父が亡くなった。母は僕を連れて父のいとこと再婚した。そのいとこにはすでに子どもがいたけど離婚して母といっしょになった。よく考えると、母と父のいとこが恋愛関係になって、いとこの妻を追い出したような形になったんじゃないかと思うんです。詳しいことを言わないまま、母もすでに亡くなったんですが……」

 父のいとこが継父となり、その連れ子がふたり、さらに母と継父 との子も生まれ、6人家族に。父か母が違うきょうだいは、それでも仲良く育ったのだという。そこまで複雑だと、誰がどの人の子かなんてもう、どうでもよくなると彼はつぶやいた。

「家族なんてそういうものだと思っていたし、うちのほうではそれを突く人もいなかった。高校までは友だちに何か言われたこともありませんでした。大学入学のために上京してみたら、離婚や再婚などのない、いわゆる普通の家庭というのは案外多いものなんだと感じました。友だちに言ったら、『おまえのところが特別だよ』って。ちょうどそのころ、継父には他にも子どもがいることがわかったんですが、母なんかもう笑ってましたよ。食べていければいいんだから、その人の子もうちでめんどうみてもいいとまで言いだして。さすがに継父が恐縮していたようでしたが」

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