中学受験でトップ合格したが不登校に…立ち直りのきっかけは「ポケモンカード」 父親も「やるなら血反吐吐くまでやれ」

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ゲームで協調性を育む

 高卒支援会が提携する通信制高校に進学してeスポーツ部を続けるうち、「プロになりたい」と思い、練習をがんばるようになった。プロコーチが指導する外部の合宿に何度も参加し、スキルを上げた。

「『VALORANT』というゲームでは、インゲームリーダーという全体の指揮役、デュエリストという前線で敵を倒す役、イニシエーターという戦略を立てる役など、それぞれ役割があります。チームプレーが必要なゲームを続けて、全体を見渡せるように自分が変わってきました」と亮祐君は話す。

 竹村さんも「以前は『この攻め時がわからないのか、へたくそ』と先輩に言うなど、配慮ができませんでした。それがゲームを続けるうちに、協調性が身についてきました。普段の生活でも、みんなをまとめたり、みんなに協力をお願いしてイベント運営をできたりするようになって、成長しました」という。

 こうした成長の結果、世界で2300万人がプレーするという「VALORANT」のなかで日本4000位となり、プロチームの下部組織のテストを受けて合格した。今後はそのグループが運営する専門学校でゲームの腕を磨きながら、プロを目指す予定だ。

「大会に出て、結果を残して、日本1位になりたいです。世界大会にも挑戦したいですね。でも、プロゲーマーは不安定な職業で、不安もあるので、同時に勉強もしようと思っています」(亮祐君)

 今では両親も応援してくれて、勉強も自分からするようになったという。

子どもの好きなことを徹底的にやらせてみよう

 2人の成長を見守ってきた竹村さんが話す。

「親がレールに乗せようとしても、子どもは反発するだけです。それより、外部の人と関わりながら、子どもが好きなことを、途中であきらめたり逃げたりしないで、とことん突き詰めると、自信をつけて立ち直っていきます。そして、好きなことを将来もやるために自分で調べると、お金のことや進路も見えてきて、大人になっていきます」

 親は子どもが好きなことを突き詰めるのを、全力で応援するだけでいいのだ。それが、子どもが能動的に自分から立ち直っていく力になる。

小山美香(こやま・みか)
大学時代からフリーライターに。大学卒業後は「サンデー毎日」(毎日新聞出版)の編集記者を経て、フリーランスに転身。中学受験情報サイトでのべ160校以上の私立中学校高等学校を取材したほか、現在は不登校や通信制高校、子ども食堂など、子どもをめぐる事象について取材・執筆。著書に『中学受験をして本当によかったのか? ~10年後に後悔しない親の心得』(実務教育出版)がある。

デイリー新潮編集部

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