中学受験でトップ合格したが不登校に…立ち直りのきっかけは「ポケモンカード」 父親も「やるなら血反吐吐くまでやれ」

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好きなことに真剣に取り組むと進路も見えてくる

 お父さんも「最初は遊びだと思っていました。しかし、息子がどんどん成長する姿を見て、考えが変わりました」と話す。

「仕事でも勉強でもポケカでも、PDCA(PLAN【計画】、DO【実行】、CHECK【評価】、ACTION【改善】のサイクルで問題解決していく手法)が大切なのは一緒だと気づきました。アマゾンの創業者ジェフ・べゾスは社員を採用する際に、何かに熱中して深掘りしてきた人物を選ぶという話を読んで、やるならとことんやれ、と思うようになりました」

 お父さんは意織君に、「やるなら血反吐吐くまでやれ、指紋が擦り切れるまでやれ」と激励したそうだ。

 意織君は持っている5000枚のカードのテキストをほぼ全て覚えていて、さらに、対戦するごとにパソコンにデータを打ち込んで、先攻、後攻、相手のデッキなどでどのくらいの勝率になるか計算しているという。

 2022年の横浜大会では3勝3敗で250位、仙台大会では6勝2敗で20位、昨年の京都大会では8勝0敗で全国3位に躍り出て、今年8月にハワイで行われる世界大会への切符を手にした。

 今は世界大会への練習をしながら、大学受験を目指して勉強している。

「大会で中央大学のポケカサークルの人たちと出会いました。彼らに憧れて、ぼくも大学に行きたいと思うようになりました」

小さい頃から集団行動が苦手で留学

 佐藤亮祐君(17)は、小さい頃から集団行動が苦手で、お母さんの「日本より海外のほうが合っているのでは」という考えから、小6の1月からニュージーランドに留学した。しかし、ホームシックになり、現地校に馴染めなかったことから、中1の6月には日本に戻り、地元の公立中に転校した。

 だが、その中学にも馴染めず、毎日のようにクラスメートとケンカし、いじめられた。教室に入れなくなって、保健室登校をしていたが、ある日、いじめっ子が給食を運んできて、「明日は教室に来いよ」とニヤリとしたのを見て、それ以来、学校へ行けなくなった。

 それから約1年、部屋にこもっていたという。

「父が厳しくて、Wi-Fiをオフにされ、テレビを起動するカードも抜かれて、ずっとマンガを読んでいました。父はコツコツ努力するのが当然という考え方で、勉強して大学へ行けと言われ、しょっちゅうケンカして殴られました」(亮祐君)

 見かねたお母さんが高卒支援会に相談し、亮祐君はフリースクールとして教室に通うことになった。先輩たちがeスポーツ部でゲームをしているのを見て、「ぼくもやりたい」とパソコンを買ってもらって入部した。部活動でゲームの練習をしたものの、チームの連携が必要なのに、亮祐君は単独プレーや、自分優先でチームメートに嫌な思いをさせるプレーをして、何度も怒られ、活動停止にさせられたこともあったそうだ。

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