「潜入捜査で半月ほど留守にするけど心配するな」…美人女子大生をダマした「ニセ麻薬取締官」の呆れた手口
「コラッ、にせもの!! 潜入捜査は終わったのか?」
それから10日ほど経った頃、彼女からか細い声で電話があった。
「いま、彼から電話がありました。“ごめんな。捜査はもう少しかかるけど、明日の夜、お店にバックを取りに行く。おまえに会いたい”って。私、どうすればいいでしょうか……」
私は「あなたが店に行く必要はない、我々に任せなさい」と伝え、逮捕状を手に監視体制を敷いた。すると翌日の午後9時頃に、大型バイクが店の前を横切った。バイクはゆっくり旋回してからバーの手前で停車。Aはヘルメットを脱いでバーに向かう。
――来たな、やるぞ!
私は「コラッ、にせもの! まがいもの! 潜入捜査は終わったのか?」と声をかけた。男は一瞬たじろいだが、「ワー!!」と叫びながら走り出す。そして、付近に停めてあった自転車を何台かなぎ倒しながら大通りに逃れようとした。しかし、周辺を固めていた屈強な捜査員に「やかましい、この“にせもの”が」と一喝され、簡単に取り押さえられたのだった。
第2回【「麻薬取締官」を騙った“チンピラ密売人”に惚れて…美貌の女子大生はなぜ“シャブ地獄”へと堕ちたのか】では、「ニセ取締官」と恋人が直面したあまりにも哀しいドラマについて詳述する。
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