「阿部新監督」の初年を優勝で飾れるか 元・巨人「一軍戦略コーチ」が提案するチーム復活の“道しるべ”とは
今季のペナントレースは、パ・リーグでソフトバンクの独走が続く一方、セ・リーグでは今なお上位4チームが僅差で並ぶ“団子状態”が続いている。注目チームの1つは、ここ数年優勝争いに絡むことのできなかった巨人である。『だから、野球は難しい』(扶桑社新書)の著者で、巨人の一軍戦略コーチや、楽天の一軍ヘッドコーチ、西武の一軍作戦コーチなどを歴任した橋上秀樹氏が、「阿部新監督」に期待する「新しい時代の巨人」とは。
(前後編の後編)
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※以下、『だから、野球は難しい』(扶桑社新書)より、抜粋/編集してお伝えする。
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待遇面では「メジャー>巨人」であるから考えるべきこと
巨人もかつてのようにFAで大型補強できるような状況ではなくなってきている。
繰り返しになるが、選手の考え方が巨人一辺倒でなくなっていることもあるし、それ以上に「メジャーに移籍する」ことが目標になったことも大きい。
今の巨人が、待遇面でメジャーに勝つ方法は残念ながら見当たらない。契約金や年俸を見ても、メジャーが圧倒しているのは明白だし、「(人工芝の)東京ドームよりも天然芝のグラウンドでプレーする」ことに対して憧れを抱いていても不思議な話ではない。
そうだとすれば、巨人がまずやるべきことは、「素質の高い選手をドラフトで獲得して、自前で育て上げること」である。そうして結果がついてくるようになれば、自然とファンも応援してくれるような選手になるだろうし、今よりもさらに注目度は高くなるはずだ。
今どきの選手であるならば、国内にとどまらず、目標は自然と「メジャーに挑戦」という青写真だって描いているはずだ。そうなったときは、ポスティングを認めれば、メジャーからの巨額の移籍金を手にできる。移籍金を球団運営に充てたり、さらなる優秀な選手を確保するための軍資金にしたっていい。
かつての巨人は、「メジャーに追いつき追い越せ」の精神でやってきたが、「巨人に行って活躍すれば、好条件でメジャーに行ける」という目標をアマチュア選手に認知させるのも一つの方法である。
そのためには、これまでのように「巨人は球界の盟主である」という考え方はいったん脇に置いておき、将来性豊かな有望な選手がこぞって「巨人に入りたい」という目標を持てるようなチームづくりをしていかなければならない。
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