難関私大が1000人に「授業料50%オフ(返還不要)」の衝撃 「国公立並みの学費」を実現させたカラクリ

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明治大学「おゝ明治奨学金」

 東京六大学に名を連ねる私立の明治大学が、今年度の受験生に対して「国公立並みの学費」をアピールしている。少子化による受験生減少の中、少しでも受験生とその親の関心を引こうと躍起になっている様子が浮かび上がる。受験産業界では明治は早慶上智に次ぐ「GMARCH」(学習院、明治、青山学院、立教、中央、法政)に分類されるが、最近は「SMART」(上智=ソフィア、明治、青山学院、立教、東京理科)とも呼ばれ、中央、法政を引き離す難関校となっている。

 教育ライターがこう明かす。

「明治大学入学センターが5月下旬に『高3生必見!明治大学の学費を「国公立並み」に抑える方法』と題した告知をLINEの公式アカウントなどで開始しました。近年、大学の学費が次々と値上げされており、今年度は私大の約2割、早稲田、慶応、関西学院など学生数1万人以上のマンモス大に限ると約4割近くが学費を値上げしています。特に東京、神奈川など首都圏の大学の場合、家賃や生活費も高くなります。家計にゆとりがない世帯にとって学費を“国公立並み”に抑えるというキャッチフレーズは確かに目にとまりますね」

 大学4年間の学費は、国公立大学で約250万円、私立文系で約400万円、同理系で約550万円、医歯系で約2400万円がだいたいの相場。明治と国公立の学費には約150万円から300万円ほどの開きがある。この差を埋めるための方法とは何か。

 明治大学入学センターの公式noteを開くと、答えがあった。それは学生が返還不要(給付型)の「おゝ明治奨学金」を申請することで学費の相当部分を補填することだという。

 もう少し細かく見ていこう。今年4月に政治経済学部、経営学部、情報コミュニケーション学部に入学した学生は、入学金20万円のほかに1年次の授業料89万1000円、教育充実費20万8000円、実習費1万円、学生健康保険互助会費3000円、父母会費1万2000円、合計132万4000円となり4年間では約476万円とかなりの金額となる。こうした負担を軽減するために推奨されているのが「おゝ明治奨学金」だ。キャッチコピーも「授業料が50%OFF!(返還不要)」と家電や野菜のたたき売りのようで勇ましい。

「採用されると授業料の半額が給付され、大学当局による家計や学業成績の審査に通れば4年間連続でもらえます。4年間の学費約476万円が、約296万円に減ります。25年度の採用候補者数は1000人以内で、大学側は『採用のチャンスも大きいので、チャレンジしないともったいない』と猛アピールしています。奨学金採用者には、大学が推薦する学生マンションの入居費や光熱費も割り引かれる特典があるところも注目されます」(前出の教育ライター)

 採用の条件となる高校の評定平均値(学習成績)は24年度から、従来の4.0から3.8に緩和。25年度からは家計基準も給与世帯の場合、上限700万円から841万円に大幅に緩和される。しかも、入学試験前に申請することが可能で、奨学生に採用されなかったから受験を取りやめるという選択も可能という。

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