ジャニーズ取材歴50年の作家が読み解く「EXILE」「AKB48」ヒットの要因と源流

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芸能は世情に応じる一里塚

 日本の国民性を第二次世界大戦は一変させたが、政治外交と並んで変革をしたのが「芸能」との印象は強い。先鋒は桑田佳祐(1978年「勝手にシンドバッド」でデビュー)。昭和歌謡が主に8ビートの音階に対し、作詩作曲の桑田は倍の16ビートで歌い、新時代を先導する。そして歌謡史の転換は同年4月、カラーテレビ到来の申し子「キャンディーズ後楽園球場(現在の東京ドーム)解散コンサート」後である。「アイドルは南からやって来る」との日本歌謡界の「お約束」通り、1980年代に松田聖子、南沙織、安室奈美恵、次いで中森明菜、小泉今日子ら女性アイドル偏重時代への転換期直前、桑田が紡ぐ歌詩の役割は「サウンド(音)」であり、「歌詩」に思いを込める昭和歌謡とは異なる時代を迎える序幕となった。

結論として一言

 桑田が種を蒔き、女性アイドル群が若者の心を鷲掴みにする激変を経て、秋元康、HIROが造型した異能群団が迎えられるフィールドが整い、その道筋が現代の日本芸能界が辿る歴史、との私の検証に行き着く。文化芸能の転換期に「過去の常識を疑う創造者」が出現するのは時代の宿運と。(敬称略)

小菅宏(こすが・ひろし)
東京都出身。立教大学を卒業後、集英社に入社。週刊誌・月刊誌の編集記者を経て、1990年に独立。著書に『琵琶湖周航の歌 誕生の謎』、『僕は字が読めない・発達障害』、『美空ひばりと島倉千代子』、『小松政夫の遺言』、『女帝 メリー喜多川』、『ジャニーズ61年の暗黒史 新ドキュメントファイル』など。

デイリー新潮編集部

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