「ロックファン、増やせるといいな」 11歳兄と10歳妹の超絶プレイヤーはロックの救世主となるか

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マーカス・ミラーにも憧れる

 ベーシストの音寧ちゃんも、ギターのリフに魅力を感じている。

「楽器を弾き始めたころ、夜、パパとふざけて変顔をやり合っていたことがあって、そのBGMにロックがぴったりでした。楽しかった。それからはロックばかり演奏してきました。今聴いているのはオジー・オズボーンの『ショット・イン・ザ・ダーク』です。リフがすごい。ただ、最近私はロック以外の音楽にも魅力を感じています」

 そう話す彼女が今憧れているのはマーカス・ミラー。1980年代のはじめ、“ジャズの帝王”マイルス・デイヴィスに見出されたジャズ・ファンク系のレジェンド・ベーシストだ。

「マーカスの『パワー』という曲が大好き。ほかのベーシストと違うのは、音が太くて優しさも感じるところです」

 音がやさしい――プロのような分析をしていることに驚かされた。

「私もああいう音を出してみたい。少しでも近づきたい。だから、マーカスが使っているマークベースというアンプがほしいんですよ。ヘッド部は持っていて、スピーカー部もほしいからお小遣いを貯めています。新品は15万円くらい。中古なら5万円くらいで見つけられるかも。100均のお店で貯金箱を買って毎月500円ずつ入れています。まだまだ時間がかかりそう。再来年には買いたいなあ。無理かなあ」

 兄妹は楽器メーカーとエンドユース契約も結んでいる。つまり、撮影やライヴで使用する楽器は無償で提供されている。アーティストとしての2人の“ビジネス価値”は企業も評価している。

もっとロックを広めたい

 彼らほど楽器がうまければ、小学校で人気者なのでは。モテてしかたがないのでは。音太朗君に聞いてみた

「僕の通う学校には、そんな単純な人はいません」

 一蹴された。かつて楽器がうまいとモテた時代があったけれど、今はそうでもないらしい。

「モテることよりも、僕はもっとロックを聴いてほしいんですよ。今はみんなゲームに夢中で、クラスでメタルの話をしても誰にも通じません。わかってもらえなくて、つまらない。この前、先生に頼んで下校放送でメタリカの曲を流しました。でも、校内の反応はまったくで、とぼとぼと家に帰りました」

 そんな音太朗君は今、曲作り、リフ作りに励んでいる。

 実は彼らの父親、三宅英明さんもロック系のギタリスト。今は主に作曲を仕事にしている。演奏技術が高いだけでは、競争の激しい音楽の世界で長く活躍していくのは難しい。音楽を生み出す力も未来を切り開くことを2人に教えた。

 だからといって、子どもたちに直接手は差し伸べない。行きづまったときに手助けをするほかは、自主性に任せている。音楽に限らず、“芸事”はオリジナリティが大切だと考えているからだ。

 もちろん、音寧ちゃんも曲作りには余念がない。

「もっとオリジナル曲をつくって演奏したいです。私がリスナーとして聴きたくなるような曲を私自身がつくって演奏できたら最高。そんな曲をたくさんつくれるベーシストになりたい」

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