雑誌の殿堂「大宅文庫」が“グーグルを先取りした”と称される理由…なぜ大宅壮一は「つまらない記事」の所蔵にこだわったのか

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雑誌を「そのままお渡しします」

 資料によってはマイクロフィルムで提供される図書館もあるなか、大宅文庫では閲覧申請を出せば、目的の記事が収録されている雑誌そのものを閲覧することができる。

「昭和23年の雑誌でも、そのままお渡ししますよ。やはり雑誌は、ひとつの記事だけでなく、連載小説やコラム、広告に表紙、そして、紙の手触りや匂いまで含めて味わってもらいたい。目的の記事だけ読めればいいと考えたら、別の図書館でコピーすれば事足ります。でも、雑誌の面白さはそうではない。過去にはリサーチャーの方も多くいらしていましたが、目的のものを調べつつ、前後の記事をパラパラ見たり、っていうのが意外と次のネタ探しに役立ったんじゃないかと思うんですよね」

 有名雑誌の休刊や廃刊が相次ぎ、発行を続ける雑誌も部数低迷に喘ぐなど、雑誌を取り巻く現状は厳しさを増している。それに呼応するように、大宅文庫の来館者も減り続け、いまや1日に数十人とごくわずかだという。

第2回【「大宅文庫」でケタ違いに検索された記事は「時の総理を追い詰めた歴史的レポート」…では、ここに来て“激減”しているのはどんな記事か? 】では、新聞やネットの情報とは一線を画す雑誌記事の魅力をさらに掘り下げる。

高橋ユキ(たかはし・ゆき)
ノンフィクションライター。福岡県出身。2006年『霞っ子クラブ 娘たちの裁判傍聴記』でデビュー。裁判傍聴を中心に事件記事を執筆。著書に『木嶋佳苗劇場』(共著)、『つけびの村 噂が5人を殺したのか?』、『逃げるが勝ち 脱走犯たちの告白』など。

デイリー新潮編集部

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