急増する梅毒感染者数…大きな感染源となっている風俗業界の実情「グレーゾーンの店はかなり危険」

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 梅毒の感染者数が増え続けている。国立感染症研究所によると2023年の感染者数は1万5092人となり、3年連続で過去最多を更新し続けている。第1回では、実際の検査や診察はどうやって行われるのか体験者の話を聞いた。第2回では、男女とも、主要な感染源となっている風俗業界の事情などを探ってみたい。(全2回の第2回)

女性患者が15倍

 昨年7月、梅毒に感染していることが分かった東京都内の男性会社員Xさん(53)は、日記をつけて自身の行動を記録していた。それゆえ初期症状からすぐに感染が判明、医師の診察を受けて事なきを得た。だが、自身の感染を行為の相手方には伝えたのだろうか?

「うーん、それはちょっと……。というのも、もともと私が持っていて相手に感染させたのか。あるいは、相手からもらったのかどうかもわからないし。感染症拡大防止のために通報することは大切だとよく言われますが、当事者の立場になってみると、そこはなかなか複雑です」(Xさん)

 風俗店で遊んだ後に発症し、「この店で遊んで感染させられた」と文句を言っても、逆に「あなたが持ち込んだんじゃないのか」と言われるかもしれない。それならば余計なことを言うのは止めよう、となってしまう。

 梅毒感染者が増加していることは第1回で紹介した通りだが、全国で最も感染者の多い東京都の集計を見てみよう。男性の感染者は2015年に420人だったのが2023年には2409人と約6倍。女性は87人が1292人と実に約15倍になっている。男性は20代から50代まで満遍なく分布し、女性は20代が約7割を占める。

 一方、国立感染症研究所の統計によると、感染した男性のうち「直近6カ月以内の性風俗産業の利用歴」は、2023年から2024年の第1四半期まで約4割の男性が「アリ」に該当。女性の「性風俗産業の従事歴」も同じ数値だった。

 統計を見る限り、男女とも風俗店を介在して感染する可能性が一定程度あることが分かる。

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