「今やインフルエンザのような身近な病気になりつつある…」梅毒に2回感染した53歳「男性」の告白

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恐ろしい病気

 梅毒は梅毒トレポネーマという細菌が原因で、性行為だけでなく菌を持った相手とのキスでも感染する。Xさんは特定のパートナーではなく、不特定多数の相手と性行為をした結果の感染だった。上述のように、梅毒は症状が出てもすぐに治まったり、何の症状も出ない例もあったりする。医学界では「The Great Imitator(偽装の達人)」と呼ばれ、専門医でないと見落とすこともあるという。適切な治療をしなければ、やがて細菌が全身にまわり、脳腫瘍や大動脈瘤破裂など大きな病気を引き起こすことになる。

 恐ろしい病気であることは昔から変わっていないが、

「治療薬がない頃は鼻や耳が欠損するということもありましたが、今は早めに検査して治療を受ければ、飲み薬か注射ですぐに治る病気です。言い方が難しいのですが、インフルエンザのような“身近な病気”になったといえるのかもしれません」(Xさん)

 Xさんのように日記など記録を残すことに加え、身に覚えのある行為があるなら、毎日、身体の変化に気を配り、発症の疑いがあればすぐに医師の診察を受ける――こうした“最前線”で各自がきちんと対応していれば、毎年、何人かの感染者が出るのは仕方がないとしても、ここまで爆発的に増加し続けることはないのでは、という疑問が浮かぶ。

「実は、私が感染したのはこれで2回目なのです。前回は6年前でしたが、その時は検査に、時間と手間を十分にかけました。いや、かけなければいけないのです」(Xさん)

 6年前、Xさんは血液検査を受け、梅毒陽性と判定された。処方された抗生物質を指示通りに飲み、判定から約1カ月後、もう一度、血液検査を受けた。その結果、数値が下がっていることが確認され、治療を終えた。

「一連の検査に時間やお金がかかることから面倒に思ってしまったり、負担に感じてしまったりする人が多いのではないでしょうか。家族やパートナー、職場の同僚に知られたくないという人も多いでしょう。何より、症状が出たとしてもしばらくしたら症状が収まるので、そのまま放置して性行為を楽しむ人もいる。また、陽性反応で薬が処方されたことに安心し、2度目の検査を受けない人も多いと思います。どんな病気でも個人差がありますから、薬がきちんと効いているのかどうか、確認することは大切です」(Xさん)

 Xさんのように、梅毒は何度でも感染する。自己判断ではなく、きちんと医師の診察を受けることが大切だろう。

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