二度と現れない “珍記録ホルダー” 「1球勝利」「1球敗戦」「1球セーブ」「1球ホールド」をすべて記録した中日投手がいた!

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今度は逆に、たった1球で勝利投手に

 98年からリリーフ一本に戻り、同年は最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得。翌99年、今度は1球勝利が転がり込んできた。

 7月11日の阪神戦、0対1とリードされた9回1死一塁、落合はサムソン・リーに代わって4番手として登板し、今岡誠を初球のシュートで遊ゴロ併殺に打ち取った。

 その裏、中日は先頭の井上一樹の遊ゴロエラーをきっかけに、盗塁、四球、犠飛で同点。なおも2死二塁で、李鐘範が三遊間を抜き、劇的な逆転サヨナラ勝ちを収めた。

 この結果、たった1球で9回の攻撃を終わらせた落合が勝利投手に。インタビュールームに呼ばれた落合は「実はロッカールームで、葛藤していたんですよ。“出ていこうかどうしようか”って。だって1球でしょ?」と照れながらも、「でも、まあ、たまにはこんなこともないと頑張れませんからね」と顔をほころばせた。

 4年前の1球敗戦について聞かれると、「1球で両方を経験しているのは僕だけじゃないですか? 勝つほうがずっといいけど、エッヘッヘ」と史上9人目の幸運を噛みしめていた。

1球セーブも達成

 さらに2004年4月27日の広島戦では、3つ目の珍記録、1球セーブを手にしている。

 荒木雅博の左越えソロなどで2対0とリードした中日は、9回に先発・野口茂樹が栗原健太のタイムリーで1点を失い、なおも2死一塁。

 一発出れば、逆転サヨナラ負けという重要局面でマウンドに上がったのは、同年、本調子ではない守護神・岩瀬仁紀をサポートして中継ぎの柱としてフル回転していた落合だった。

「一発だけが怖かった」という落合は、この日まで6本塁打の3番・ラロッカを初球のフォークで二ゴロに打ち取り、2対1で逃げ切り。この結果、落合に1球セーブが記録された。

 これには就任1年目の落合博満監督も「ウチには(抑えが)2人いるということ。これからも状況に応じて使っていくよ。英二の存在は大きいね」とニンマリ。同年は岩瀬が22セーブ、落合が10セーブを記録し、5年ぶりのリーグ優勝に大きく貢献した。

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