二度と現れない “珍記録ホルダー” 「1球勝利」「1球敗戦」「1球セーブ」「1球ホールド」をすべて記録した中日投手がいた!

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 今季トレードで日本ハムからオリックスに移籍した2018年夏の甲子園準優勝投手・吉田輝星(金足農出身)が、6月29日のロッテ戦で、移籍後初白星となる1球勝利を記録した。史上48人目、49度目の珍事だが、世の中、上には上がいる。1球勝利だけではなく、1球敗戦、1球セーブ、1球ホールドのすべてを記録した球界きっての“珍記録ホルダー”が存在する。中日のリリーフエースとして通算37勝、24セーブ、8ホールドを記録した落合英二である。【久保田龍雄/ライター】

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たった1球で敗戦投手に

 1992年にドラフト1位で中日入りした落合は、右肘手術の影響で、1年目はリハビリに専念も、翌年7月28日の横浜戦で1軍デビュー。1イニングを無失点に抑えると、9月28日の巨人戦では初勝利を挙げるなど、リリーフとして10試合に登板し、1勝1敗、防御率1.93を記録した。

 その後、肘の状態を考慮しながら、徐々に登板機会も増えていったが、1995年に最初の珍記録、何ともほろ苦い1球敗戦を味わっっている。

 同年4月27日の阪神戦、4対4の延長10回裏、この回から先発・佐藤秀樹に代わってマウンドに上がった落合は、4番・グレンに初球をいきなりバックスクリーン左に運ばれ、サヨナラ負け。たった1球で敗戦投手になった。

 史上11人目、12度目の不運に、試合後、落合は報道陣に何を聞かれても口を開こうとせず、ショックの大きさを物語っていた。翌日の中日スポーツは1面トップで「落合ああ1泣 救援初球サヨナラ被弾」と報じている。

 だが、この屈辱をバネに、1ヵ月後、5月27日のヤクルト戦でプロ初先発初勝利。以来、97年まで先発、リリーフの両方でチームに貢献している。

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