異例の対応「みどりの窓口」期間限定で“復活”…実際に訪れて分かった「どう考えても窓口の廃止はおかしい」

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話せる指定席券売機の利用者に駅員が対応

 筆者が南越谷駅を訪れたのは、お昼時の12時30分ごろである。この時間帯はみどりの窓口がいったん昼休みに入っているため、指定席券売機を操作できない人は、話せる指定席券売機に並ぶことになる。ちょうど1人の女性が話せる指定席券売機で切符を購入しようとしていた。その隣で、駅員が付きっきりで対応している。話せる指定席券売機が、機械に不慣れな人にとっていかに使いにくいか、よくわかる。

 こうした光景は、北千住駅や川越駅など、みどりの窓口が廃止された駅でたびたび見られる。特に高齢者は機械に不慣れであり、何かと駅員に頼りがちだ。すると、結局駅員が最初から最後まで対応することになる。駅員の手間は変わらないし、むしろ増えているように思う。それならば、最初からみどりの窓口を開けたほうが遥かにマシだと思う。

 13時からみどりの窓口のカウンターが開いた。比較的年齢が高めの人が、みどりの窓口で切符を買い求めていた。券売機で切符を買おうとしたものの、うまく操作ができず、みどりの窓口に向かった人もいた。この日は思ったほど利用者が多くなく、時間帯によっては並ばずに利用できたようだ。だが、帰省シーズンの1カ月前に当たる、13日頃になると混雑してくると思われる。

 駅員が切符を販売している姿は、かつては当たり前にあった光景だったが、久しぶりに見て懐かしさを覚えてしまった。やはり、販売のプロがいる安心感は何物にも代えがたいと思った。

券売機の改良が進むまで窓口を復活させよ

 JR東日本は窓口削減計画を一時凍結し、期間限定で復活させはしたが、各地のみどりの窓口が混雑していることには変わりない。都心の山手線や京浜東北線、中央線もみどりの窓口がかなり削減されたが、本当なら全駅にあったほうがいいくらいである。筆者は、「えきねっと」などのアプリや指定席券売機の機能がみどりの窓口並みになるまでは、みどりの窓口を維持すべきだと思うし、廃止した駅は可能な限り復活させるべきだと考える。

 今回は7月10日~18日に限っての復活だが、8月にも復活させてほしい。というのも、8月は学生が夏休みに突入し、高齢者は青春18きっぷなどで旅行をするため、みどりの窓口がとにかく混雑するためである。そして、お盆の帰省シーズンも、毎年のように切符を買い求める人の大行列ができる。できれば8月は1カ月間、毎日開けてもいいくらいだと思うのだが、どうだろうか。

 GWは各地の駅で尋常ではない行列ができ、みどりの窓口がパンク状態に陥った。さらに近年、JR東日本はお盆や年末年始の多客期に、新幹線が止まるトラブルをたびたび引き起こしている。すると切符の払い戻しが発生し、ただでさえ混んでいるみどりの窓口がますます混雑する事態になっていた。

 切符の払い戻しや、区間が異なる切符の乗車変更などが指定席券売機でできるようになるだけで、混雑はかなり緩和するはずだ。こうした要望はかなり前から出されているはずだと思うが、未だに改良されていない。みどりの窓口の廃止を進める前に、ユーザー目線で使いやすいように券売機を改良するべきであろう。窓口の廃止はそれからでも遅くないはずだ。

ライター・宮原多可志

デイリー新潮編集部

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