二宮和也 貫禄の「17センチ高低差」 医療ドラマ主人公は「高身長のセオリー」を逆手

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下からねっとりと見上げる

 演劇に詳しい文化部記者はこう指摘する。

「俳優の身長が大きく異なると、舞台上や画面での見栄え、特にカメラアングルや舞台セットのデザインに影響を与える可能性がありますが、身長の違いを活かす演出も多いです。よくある手法は身長の高低差を意図的に利用してキャラクター間の力関係や権威を表現すること。たとえば、高い身長のキャラクターは権威や支配を表し、低い身長のキャラクターは服従や劣位を表すことがあります」

 続けてこうも指摘する。

「『ブラックペアン2』はこれを逆手にとっていますね。二宮と竹内が廊下で会話する場面では、17センチの高低差をそのまま映し出すなど全くごまかしていません。むしろ、二宮が竹内を下からねっとりと見上げることで、気味の悪さを演技に吹き込んでいました。つまり、身長差を逆の手法でうまく使っているのです。今後、日本に帰った天城(二宮)が、医療界に巣くう既存の権威を下から値踏みするように覗き込むシーンが、何回も登場するでしょう」

 確かに、これまでの医療ドラマを振り返ると、身長に関する社会的なステレオタイプが反映されている傾向はありそうだ。天才医師は高身長であることが多く、コメディリリーフ(滑稽な登場人物)やサイドキック(ヒーローと一緒に行動する相棒や親友)は身長が低い、あるいは小太りという印象を持つ視聴者は多いのではないか。これまでのTBSドラマも例外ではないだろう。そういう意味でも「ブラックペアン2」はステレオタイプをひっくり返す意欲作ともいえる。

「同じ天才外科医でも大汗をかきながら危険な場所に突っ込んでいく医師という描き方ではなく、むしろ逆に汗ひとつかかず、涼しい顔をして悪魔のギャンブルを持ちかけ、しかも難易度の超高い心臓手術を軽々とこなしてしまうのが『ブラックペアン2』の主人公像です。まるで前期クールの長谷川博己主演『アンチヒーロー』を引き継いでいるようですね」(前出の放送ライター)

 第1話では悪魔のような天城が結局、チェ・ジウ演じる患者の命を鮮やかな手術で救った。“アンチドクター”の活躍が今後も期待できそうだ。

デイリー新潮編集部

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