左投手に敢えて左打ちの清宮を…日ハム・新庄監督の“感性采配”はどこまで通用するのか
清宮覚醒もやはり新庄采配
だが、新庄監督の感性による選手起用が清宮幸太郎(25)、万波中正(24)、水谷瞬(23)、田宮裕涼(24)らの野手陣を覚醒させたのは本当だ。こちらはスタメンを外すなど、適度な休暇を与えてきた。登板過多の投手が出たのとは対照的だが、守備難の野村に外野の練習をさせ、清宮を一塁から三塁にコンバートするなど、他の監督ではやらないことを淡々とやってきた。
「守備の巧くない選手を不慣れなポジションにまわせば、エラーが増えるだけ」(前出・同)
という指摘が多くある中、新庄監督が繰り返していた言葉は「出場機会が増えるから」だった。投手にとって登板過多は歓迎できるものではないが、野手にはチャンスをつかむきっかけになる。「試合に出す、出場させる」という思いが“感性采配”の底辺にあるのかもしれない。
その感性采配が冴え渡ったのが、7月9日の埼玉西武戦だった。今季、ケガで大きく出遅れ、復帰後もベンチスタートとなることも多かった清宮が「3番・三塁」で抜てきされ、延長10回に試合を決定づける、今季初の2ランアーチを放った。
「交流戦の阪神戦(6月18日)で、新庄監督は左腕・桐敷拓馬(25)に対し、左打ちの清宮を代打起用しました。その清宮がライト前ヒットの同点打を放ったわけですが、この場面でわざわざ左打者を起用しません」(前出・同)
その試合後、新庄監督は桐敷の球速を見て、「清宮のスイングがいちばん合っていると思った」とご満悦の表情で語っていた。「感性の采配」が的中したのだ。とはいえ、直感を大事にするのも大切だが、再現性がない。野球はゲームセットまで何が起きるか分からない。やはり、建山コーチたちが監督をどうフォローしていくかが再浮上のカギとなりそうだ。