左投手に敢えて左打ちの清宮を…日ハム・新庄監督の“感性采配”はどこまで通用するのか
四球を出さない制球難
7月9~10日の埼玉西武戦で連勝し連敗を4で止め、1カ月ぶりの連勝となった日本ハムだが、7日のオリックス戦で伊藤大海(26)が6回途中5失点で降板した後、彼のピッチングを指して、チームスタッフや担当記者たちから言葉が聞かれた。
「四球を出さない制球難」
制球難とはストライク・カウントが取りたくても取れず、狙ったところにボールを投げられないピッチャーの状態を指す。当然、四球が多くなるはず。そう考えれば「四球を出さない制球難」とは、矛盾した表現である。
「5回までの伊藤は、オリックス打線を3安打に抑えていました。ところが6回に突如、ピッチングが乱れ始めたんです」(スポーツ紙記者)
この日の試合は京セラドーム大阪で行われたが、マウンドの伊藤はアンダーシャツだけでなく、ユニフォームまで汗びっしょりになっていた。客席は空調が効いていても、マウンド上で投げ続ける投手はそうではない。この暑さが伊藤に影響を与えてしまったという。
「6回で交代予定だったのか、投げ急いでしまったんです。暑いし、無意識のうちに『早く終わりたい』という気持ちもあったのでしょう。ストライクゾーンにボールを投げて勝負しようとしていました。ボール球を散らし、相手打者の打ち気も逸らす、本来のピッチングができませんでした」(同)
同じ日、神宮球場で投げた巨人・菅野智之も4イニング目にいきなり3点を失うなど、それまでと別人のようなピッチングになっていた。今年の夏も異常な暑さが続いている。いや、これからが本番だろう。「早く終わりたい」との気持ちから生じる“ストライクゾーンにしか投げない制球難”は、この時期の投手だけでなく、交代を判断するベンチにとっても悩みの種になっているようだ。
ただ、日本ハムについていえば、新庄剛志監督(52)が持つ独特の“感性”に基づいた采配も影響しているというから、興味深い。
「もう少し早く、先発の伊藤を代える選択肢もあったはずです。でも、救援投手陣も登板過多の傾向にあり、新庄監督は何とか6イニングは投げてほしいと思っていたようです。問題は、こうした投手交代に関し、新庄監督へ進言できるコーチがいないとの声が、チーム内外から聞かれることです」(前出・スポーツ紙記者)
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