五木ひろしに北島三郎、忌野清志郎まで… デュエット多彩の坂本冬美、コツは「寄り添うように」
忌野清志郎らとのユニットでは「コブシを回してロックに挑戦」
こうして演歌歌手とのコラボ作品が多いかと思いきや、なんとSpotifyの第70位前後には、忌野清志郎、細野晴臣と組んだユニットHIS(ヒズ)の楽曲もランクイン。
「あら、3曲も入ってる!私がデビューした’87年のことですが、レコード会社のロビーで、評論家のみなさまを前にして『あばれ太鼓』を披露していたちょうどその時、同じ社屋の中二階で清志郎さんも取材を受けていらしたんです。その後、“気になるアーティストは?”と聞かれるたびに、“フユミ・サカモト!”と答えてくださっていて。
そうしたら、その翌年、RCサクセションのカバーアルバム『COVERS』の中の『Secret Agent Man』のコーラスに参加させていただき、さらにその2年後、日比谷野外音楽堂で行われた『ロックが生まれた日』というイベントで、清志郎さんと、MOJO CLUBの三宅伸治さん、そして私とで、HISの前身となる“SMI”というユニットとして出演させてもらったんです。その流れを受けて、清志郎さんと細野さんと私でCDデビューしたんですね。この時は、学園祭のノリでセーラー服を着た時点で開き直って(笑)、清志郎さんの指示通りに、突然うなったり、コブシを回したりしながら、ロックに挑みました」
さらに、Spotify第78位には、「岸壁の母」の11分を超える歌謡浪曲バージョンが!3分前後の楽曲が人気を集めるサブスク界隈では、異例の高ランクと言えるだろう。本作は、坂本冬美が休止していた芸能活動から復帰するきっかけを作った二葉百合子のカバー。この歌謡浪曲は、歌のほか浪曲、セリフ、語りを1人でこなすというライブ感あふれる内容で、坂本冬美の“究極の技”が堪能できる。
「ホントだ~、まさかランクインしているなんて!意外性でいくと、これがダントツですね!!『岸壁の母』は、私が’02年に休業してから二葉百合子先生と出逢い、お稽古を受けたことがご縁で、歌わせていただきました。今回のランキングには新しいバージョン(’18年版)が入っているんですね。この歌謡浪曲も、今や私のコンサートでは欠かせない存在となりました。やはり、歳を重ねた今、場数も踏んできた楽曲がより上位になっているというのは嬉しいですね!先生は今でもすばらしい歌声で歌われていますから、私ももっともっと頑張っていきたいです」
インタビューを通して「とにかく、相手の方と息を合わせることが大切だと思うので、寄り添う感じで歌っています」と、コラボの秘訣を語ってくれた坂本冬美。こうした彼女の心構えは、私たちの日常に対しても大きなヒントとなりそうだ。
《INFORMATION》
シングル「ほろ酔い満月」(カップリング:「淋しがり」)、カバーアルバム『想いびと』発売中!
◎『想いびと』収録曲
M1.「ひまわりの約束」 作詞・作曲:秦 基博 編曲:城戸紘志
M2.「恋の予感」 作詞:井上陽水 作曲:玉置浩二 編曲:佐々木博史
M3. 「サクラ、散ル…」 作詞・作曲:GACKT/YOHIO 編曲:城戸紘志
M4. 「月」 作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:宮野幸子
M5. 「千の風になって」 日本語詞・作曲:新井 満 編曲:新倉一梓
M6. 「身も心も」 作詞:阿木燿子 作曲:宇崎竜童 編曲:野村陽一郎
M7. 「One more time, One more chance」 作詞・作曲:山崎将義 編曲:萩田光雄
M8. 「Oh! クラウディア」 作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:萩田光雄
M9. 「心 はなれて」 作詞・作曲:小田和正 編曲:佐々木博史
M10.「花瓶の花」 作詞・作曲:石崎ひゅーい 編曲:宮野幸子
(取材・文:人と音楽をつなげたい音楽マーケッター・臼井孝)