「石丸伸二氏」批判殺到でも「案外支持したい」と思わせる理由 かつての「小池百合子都知事」との相似点

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颯爽と現れた若きリーダー

 増田氏についても、小池氏にとって絶好の追い風が吹いた 。自民党本部で行われた増田氏の決起集会で、当時83歳だった石原慎太郎元知事が小池氏のことを「大年増の厚化粧がいるんだな、これが。これはね。困ったもんでね……」と述べたのだ。

 小池氏はこれを利用し、演説ではこのように言われることを「慣れている」と述べ、厚化粧である理由は生まれ持って顔にあざがあるからだと説明。これで一気に石原氏と自民党への批判が増し、女性を中心に同情を集め、小池支持が拡大した。石原氏=自民党・都庁の老害政治の典型――が前に出れば出るほど小池氏が新しい時代を切り拓くかのように人々には感じられたのだ。実は石原氏は小池応援団の一人だった、というオチである。

 その後、都庁初登庁時は自民党議連から門前払いにも近い「塩対応」されたり、記念撮影を自民党の高齢男性政治家から拒否されたりしても穏やかに反応。「都政のドン」と呼ばれた高齢男性議員から露骨に嫌がられるも小池氏は笑顔で応じ、自民党とも融和する姿勢を見せた。ここで完全に小池氏は「高齢男性中心の老害自民党都政」を変えるべく颯爽と現れた若きリーダー、というイメージを定着させた。

女帝化した小池氏

 小池氏は石原氏が都知事時代に推進していた豊洲市場の移転について、土壌に問題がある、などとして移転を2年遅らせた。共産党議員団が指摘した地価の「盛り土」問題では、メディアを引き連れプレスツアーを敢行。いかに豊洲が危険かを伝えたが、これは石原氏と自民党政治の批判の意図があっただろう。ワイドショーは連日豊洲問題を報じた。

 しかし、シレーっと豊洲移転は実行された。問題のどこがどう解決したのかは全く分からないが、少なくとも小池氏があそこで大騒ぎしたため、石原氏と自民党批判は見事なまでに達成されたといえよう。

 その後、小池氏はその勢いをもって「希望の党」を率いて2017年の衆院選に臨んだ。小池氏は「(考えが違う候補者は)排除します」発言もあり、惨敗。この時は「鉄の天井があった」と自己防衛に努めた。いや、違う。「希望の党」発足後は支持率も高かったが、自身の「排除発言」で恐怖を感じた有権者が離れた結果である。

 あれから8年経ったが、その間小池氏は「女帝」と呼ばれるなどすっかり過去の石原氏のような存在になっている。今回の都知事選では、無所属で出馬したものの、実質、自公都民ファーストの協力も取り付けた。要は昔ながらの自民党選挙である。組織力と利権を取り込んだ形である。

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