「石丸伸二氏」批判殺到でも「案外支持したい」と思わせる理由 かつての「小池百合子都知事」との相似点
石丸構文
東京都知事選で小池百合子氏(71、291万8015票)に次ぐ165万8363票を獲得し、2位で落選した元安芸高田市長の石丸伸二氏(41)が今、ネット上の話題をかっさらっている。特に、小池氏の当選が確実になった後に出演した日本テレビの選挙特番での社会学者・古市憲寿氏が行ったインタビューが注目された。古市氏の質問に、石丸氏が正面から答えず、すり替えたり、はぐらかしたりするといった、堂々巡りのような受け答えが話題になった。
石丸氏の支持者は「古市氏はどうでもいいことを聞き揚げ足を取ろうとした」と解釈し、一方のアンチは「石丸氏は質問に答えずのらりくらりと逃げるし、キレているような態度が悪い」と解釈。その後、石丸氏の対応は「石丸構文」とまで言われるようになり、Xのトレンドにも何度も登場。主にアンチから使われた。
石丸氏に対しては厳しい意見が並んだが、その根拠として同氏が用いていた「YouTubeの切り取り動画を活用し、自分の都合の良い部分を支持者にアピールする」「安芸高田市議を批判し、自身の支持を集めた」「物言いが激しい」などが挙げられた。
こうしたことから、味方も敵もできやすい人物といえるが、私は石丸氏のことは案外支持したくなってしまう。というのも、彼には「何かを変えたい意思」があると思えて仕方ないのだ。それに加え、「石丸氏のスタンスは、かつて小池百合子さんがやろうとしていたことと似ていませんか? それって多くの石丸アンチの人だって支持していたでしょ?」と思うからである。
都民を守るリーダー像
2016年の、小池氏が初出馬した都知事選を振り返ると、今回の石丸氏の姿勢と、小池氏のやり方との間に、共通点が非常に多いことに気付かされる。当時、都民はそのやり方を支持し、そして私も小池氏を応援していた。とはいえ、振り返ると、小池氏は結局、派手なスローガンを並べ、自分が目立つ言動を繰り返すだけだったため、現在はまったく支持していない。
2020年から始まったコロナ騒動の時もそうである。ひたすら「3密」「東京アラート」「首都直下型地震並み」「ステイホーム」「ハンマー&ダンス」「防ごう重症化 守ろう高齢者」などと言葉を作り、フリップを広げて「都民を守る頼れるリーダー」像を演出。なんのこっちゃない。ただ単に人々を自粛させ、自分がリーダーシップを取っているように見せただけだ。以来、全国各地の知事がこのやり方をマネし、目立とうとする悪い流れになり、日本はコロナ沼のドツボに自らハマっていったのである。
さて、今回の選挙で石丸氏が発表したスローガンは「東京を動かそう」。柱となる公約は「政治再建」、「都市開発」、「産業創出」。「政治再建」の意図としては、人々に政治に対する関心を持ってもらい、AI等も活用して民意を集約し、利権政治からの脱却を図ることにあった。
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