伝説の“バント逆転3ラン”も…信じられない“バントを巡る珍プレー”はこうして起きた!

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送りバントの“2度打ち”はファウル?アウト?

 送りバントが飛球になった直後、“2度目のバント”でアウトを免れたのが、広島・石原慶幸である。

 2011年4月28日の阪神戦、2対0とリードした広島は6回にも井生崇光が右前安打で無死一塁と追加点のチャンス。だが、次打者・石原慶幸の送りバントは、数十センチ浮いた小飛球になった。

 ところが、捕手・城島健司が捕球しようとミットを差し出すと、石原はもう一度バットにコツンと当て、ボールは地面に落ちた。

 2度打ちは、打席内ならファウル、打席外のファウルの場合は、故意に当てたと認められたらアウトになる。嶋田哲也球審は「城島のファウルゾーンでの落球で、2度打ちではない」と見なし、「ファウル」をコールした。

 直後、阪神・真弓明信監督が「審判は見えていないでしょう。あれだけ(打球が)上がっているんだから、打席の中にいても、アウトでしょ。故意としか考えられない。一塁走者も飛び出していたし、十分にダブルプレーが取れた。ひとつのアウトでも納得できない」と抗議したが、判定は覆らなかった。

 この結果、“命拾い”で打ち直しとなった石原は右前安打で出塁。その後、2死満塁から広瀬純の遊撃内野安打で貴重な3点目が入り、試合が決まった。

 石原は2017年5月14日の巨人戦でも、8回1死二、三塁の加点機に、スクイズを試みて、ワンバウンドのボールを空振りしたが、ボールがバックネットを転々とする間に三塁走者・西川龍馬と二塁走者・野間峻祥が生還。“空振りの2ランスクイズ”の珍プレーとなった(記録は重盗と暴投)。

 また、冒頭でも紹介したソフトバンク・今宮は、2016年8月11日のオリックス戦では、4回無死一塁で一塁線に転がした直後、走りながらバットを放り投げたところ、皮肉にも自らのバントの打球に当たってしまい、守備妨害でアウトになる珍プレーも演じている。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

デイリー新潮編集部

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