伝説の“バント逆転3ラン”も…信じられない“バントを巡る珍プレー”はこうして起きた!

スポーツ 野球

  • ブックマーク

 6月25日のオリックス対ソフトバンクで、6回無死一塁、ソフトバンク・今宮健太の送りバントが一塁悪送球を誘発。ボールが右翼線を転々とする間に、一塁走者・周東佑京に続いて今宮も生還する“バント2ラン”の珍事となった。そして、過去にもバントをめぐる珍プレーが何度となく見られている。【久保田龍雄/ライター】

 ***

コアなファンに語り継がれる約40年前の“バントホームラン”

“バントホームラン”といえば、今でもコアなファンの間で語り継がれているのが、巨人・篠塚利夫の“バント逆転3ラン”である。

 1982年9月15日の中日戦、1回表に2点を先行された巨人はその裏、連続四球で無死一、二塁のチャンスをつくると、3番・篠塚が定石どおり、投前に転がした。

 打球を処理した郭源治は、捕手・中尾孝義の指示どおり、三塁に送球したが、グラウンドが雨でたっぷり水を吸い込み、足場が悪くなっていたことから、「(三塁を)振り向いたとき、マウンドが柔らかくて、足が滑ってしまった」。

 郭の送球は、サード・モッカも捕球できないほど大きくそれ、三塁側フェンスに転がっていった。さらにカバーに入ったレフト・大島康徳もクッション処理を誤り、後逸したからたまらない。

 ボールが無人のレフトを転々とする間に、二塁走者・島貫省一、一塁走者・河埜和正に続いて、篠塚もホームイン。3対2と一気に逆転した(記録は犠打野選とエラー)。巨人ベンチは爆笑の渦で、「オレ、笑い過ぎてアゴが外れちゃったよ」(中井康之)の声も出るほど。

 勢いづいた巨人はこの回一挙5得点で試合の主導権をガッチリ握ったかに思われたが、終わってみれば、7対7の引き分け。そればかりでなく、この日の時点で3.5ゲーム差をつけていた2位・中日にわずか0.5ゲーム差で逆転優勝を許してしまうのだから、野球は最後の最後までわからない。これも笑い過ぎた代償か?

次ページ:100メートル10秒台の俊足で一気にホームイン

前へ 1 2 3 次へ

[1/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。