“NewJeansの母”の戦い続く…会見から2カ月、韓国人女性たちの「ミン・ヒジン」支持が止まらない

エンタメ 芸能

  • ブックマーク

 今春の韓国芸能界は「ミン・ヒジン(閔熙珍)さん」の話題で持ちきりだった。ガールズグループでトップの人気を誇るNewJeans(ニュージーンズ)のプロデューサーである。

 あらためて騒動を簡単に振り返っておこう。発端は今年の4月、人気グループBTSが所属するHYBE(ハイブ)がマスコミを通じ「HYBEの子会社ADOR(アドア)の経営権奪取をミン・ヒジンさんが計画。業務上背任の疑いがある」と刑事告発することを明らかにし、ミンさんの議決権行使禁止が必要だと主張したことだった。

 これを受け、ミンさんは4月25日に突然、記者会見を開いた。ノーメイクにストライプシャツ、青色の帽子というラフなスタイルで取材陣の前に現れると「HYBEが私を利用して裏切った」と反論。「来るならマッタイで来い」とHYBE側を挑発した。

「マッタイ」とは暴力団や不良たちがケンカを売るときのスラングだ。日本語と韓国語が混じった言葉で、「マッ」は「互い」、「タイ」は「タイマン」を意味する。要はミンさんは、HYBEと取締役会長のパン・シヒョク氏に対し、「戦いたいのならマスコミを通じてではなく直接タイマンをはろうじゃないか」と言うのだ。

 皆をあ然とさせた記者会見だった。マスコミは「歴代最高の記者会見」と評価し、記事を量産した。SNSはもちろん、有名バラエティー番組やユーチューブでも、ミンさんの言動がパロディ化された。

 それまでHYBEに傾いていた世論は、一気にミンさんへの同情へと傾いた。ソウル中央地方裁判所も、5月30日に「HYBEはミン・ヒジン氏の議決権行使禁止をすることはできない。これを破って解任するならば、200億ウォン(約24億円)の賠償金を支給しなければならない」とミンさんの主張を認めた。

戦いは第2ステージへ…

 ここまでは日本でも大きな話題になった。その後、ミン氏はガールズグループILLIT(アイレット)の事務所から、業務妨害と名誉毀損などの疑いで6月に民事訴訟を起こされた。

 今年3月にデビューしたILLITは、HYBE傘下のレーベルに所属する5人組ガールズグループである。ILLITがNewJeansの振り付けや衣装など、全般的なコンセプトをコピーした疑惑が、かねてよりファンとマスコミの間で話題になっていた。ミンさんも先の会見でILLITを「コピーガールズグループ」と指摘し、それが提訴につながったというわけだ。

 またHYBEの告発を受け、7月9日に、ミンさんは警察に召喚され、初の調査を受けた。ミンさんの戦いは第2ステージに入ったのだろうか。

 ミンさんはNewJeansをプロデュースし、世界的にヒットを生んだ。「NewJeansの母」と呼ばれ、また大手芸能事務所SMエンターテインメント所属時代には「少女時代」や「SHINee」など人気グループのディレクターとしても活躍。芸能界では有名だったが、一般的に知られた存在とはいえなかった。

 ところが、今回の記者会見で全国民に顔が知られて以降、とくに女性たちから大きな支持を得ることになった。言葉を選ばずにいえば、40代の独身女性が、ノーメイクかつラフな格好で、世間が注目する生中継に現れたことが評価されたようだ。さらに権力者を相手に、物おじしない姿勢も好感を持たれた。

次ページ:知り合いでもないのに「オンニ」呼び

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。