14年も早まった「出生数70万人割れ」 円安&衰退国の日本はどうすればいいのか(中川淳一郎)

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 日本総研の試算によると、2024年の出生数は68.9万人~69.8万人になるとのことです。もともと70万人割れは2038年と見込まれていましたが14年も早まりました。コロナにカネ使い過ぎだわ、自粛し過ぎだわ日本人。

 私が生まれた1973年は209万人生まれたわけで、3分の1となります。となると何が起こるかといえば、「大学に誰でも入れるようになる」「本来の学力よりもレベルの高い大学に入れるようになる」ということになります。

 これをどう捉えるべきか。私だったら「大学に価値はない」という判断になるでしょう。大学が価値を持った理由は「より難しい大学に入ることがより給料の高い会社に入るためのパスポートになる」からです。

 しかし、70万人しかいないような時代に大学卒業という資格に果たして意味があるのか。理系や美術系ならさておき、正直文系はあまりないのではないでしょうか。私自身、大学で学んだことが仕事生活で役に立っているとはまったく思っていません。

 だって、商学部ですよ! で、今、こんなふうに社会に対してクソ!だの意味ねぇだろ!みたいに文句ばかり言う人生を送っている。会計学やらマーケティング、生命保険の歴史など何も役に立っていないのです。

 唯一役立った授業といえば楠木建氏による「生産管理」という授業です。企業や工場の生産効率を上げるためにどうすればいいのか?をケーススタディーとともに学ぶ授業でしたが、その回の最後で楠木先生はこう言いました。

「僕はいろいろと小難しいマーケティングの理論やらケーススタディーだのを言ってきたが、結局言いたいのはコレだけなんだよ。ちょっとこの歌を聴いてくれ」

 そこで彼が流したのはビートルズの「The End」。ビートルズ最高のアルバムともされる「Abbey Road」の最後から2番目の曲です。

「オッイェー、オーライー!」から始まり、その後は歌詞はなくドラムの音が鳴り響く。そして、最後にこう歌います。

「And in the end the love you take is equal to the love you make」

 これを訳すと「結局あなたが得られる愛はどれだけあなたが与えた愛か、ってことと同じなんだよ」となります。

 楠木先生は、これこそが経済活動の根幹である、とわれわれに伝えたのですね。それは今となっては心から理解できます。さまざまな人々と仕事で付き合ってきましたが、結局こちらが与えた愛と同じ程度の愛を相手からももらうんです!

 さて、これから日本の大企業に入り、「愛」は与えられるでしょうか? 多分かなり難しい。本当に、海外ですし職人になった方が「愛」はもらえるし、同僚と客に愛を与えられると思います。

 何しろ円安だし、衰退国である日本では「愛」を与えるような状況ではなくなってきます。だったら海外で「愛」を与え、もらう環境を作るべきです。完全にコロナで自粛大好き・高齢者優遇社会であることを露呈した日本、もう終わりです。若者は海外を目指せ! すし職人になるのは一つの手よ。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ。ネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』等。

まんきつ
1975(昭和50)年埼玉県生まれ。日本大学藝術学部卒。ブログ「まんしゅうきつこのオリモノわんだーらんど」で注目を浴び、漫画家、イラストレーターとして活躍。著書に『アル中ワンダーランド』(扶桑社)『ハルモヤさん』(新潮社)など。

週刊新潮 2024年7月11日号掲載

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