西武、次期監督候補の伊東勤氏(61)が「汚れ役に最適」の声も…球団が敬遠する“ソノ気”の本人の「悪評」とは

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西武が代々、OB監督のワケ

 前出のチームスタッフがその背景に言及し、危機感をあらわにする。

「フロントが原因でしょう。西武のフロント陣は代々、OBで固められてきました。結局、その時その時の幹部がコミュニケーションを取りやすい人材を監督に選んだ。結果的にチーム成績は悪くはなかったので、その手法の踏襲でよしとされてきました。ただ、それももう限界に来ていて、ここで抜本的な改革をしないと本当に暗黒時代になってしまいます」

 ただOB以外で「勝てる監督」を探してみても、人材難と言わざるを得ない。中日監督として黄金期を築いた落合博満氏は齢70。昨春のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で日本代表を優勝に導いた栗山英樹監督(63)やこれまで各球団で何度も監督候補に挙がってきた古田敦也氏(58)らは実現性に欠ける。

「今なら広島の新井(貴浩)監督や日本ハムの新庄(剛)監督は就任時に戦力的に恵まれていたとは言い難かった中で健闘していますが、いずれも他球団で現職ですから……。(去年までパ・リーグを3連覇した)オリックスの中嶋(聡)監督も西武OBではあるのですが……。どの球団も監督は人材不足で手放さないでしょう」(同前)

秋山、工藤両氏では「都落ち」

 西武OBに絞ると、秋山幸二氏(62)や工藤公康氏(61)が監督経験者で、ともにソフトバンクを日本一に導いている。しかし、球界屈指の強豪球団で複数回、頂点を極めた両氏がいまさら西武監督では「都落ち」の観が否めない。八方塞がりの中で、前出のチームスタッフは両氏とともに黄金時代のメンバーで、04年に西武で日本一監督になった元捕手の伊東勤氏(61)を適任者に挙げる。

「チームの課題は明らかに打線です。ロッテでも監督を務めた伊東さんなら多くの引き出しを持っています。小粒な西武打線でも、あの手この手で点を取りにいくでしょう。捕手出身で、攻守両面をみることができるのも強みです。投手出身のオツが1軍コーチとなって攻撃面を学べる利点もあります」

 さらに、伊東氏がふさわしいという最大の理由はこうだ。

「今、戦力的に厳しい西武の監督になるということは火中の栗を拾うことになります。汚れ役になれる人でなければいけません。たとえ勝てなくても批判に耐えながら基礎作りをし、その上で若い人に引き継ぐという役目は伊東さんがうってつけではないでしょうか」

 近い関係者によると、伊東氏自身も戦力が整ったチームより、低迷するチームを再建することに指揮官としてのロマンを感じているという。フロントとの対立でけんか別れした07年当時のしこりは既に解消されている。今春にはOB戦に参加し、二度と着ないとしていた西武のユニホームに袖を通した。要請があれば受諾に支障はないようだ。今オフ、渡辺代行が再びGMに専念すれば、黄金期のバッテリーで再建へタッグを組むことになる。

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