「ワサビを醤油に溶いてはダメ」「タケノコの刺身は美味」…“愛読者”でも納得できない『美味しんぼ』の主張10選 

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栄養面で不安

【10】麺のうまさを味わうことが日本人は好きだ

 スパゲティ対決で雄山が指摘したこと。「日本人好みのスパゲティ」というテーマで山岡は生ウニとイクラのスパゲティとアワビのスパゲティを出した。雄山はニンニク・スパゲティとトマトソース・スパゲティ。審査員は当初山岡の料理に感動するが、雄山の勝ち。

「日本人好み」という意味について釜揚げうどんなども含め、日本人は麺そのものを味わうのが好きであり、毎日でも食べたくなるのは雄山の作だという。審査員は「麺ではなくソースのうまさだった」と振り返る。いや、それを含めても一皿のスパゲティだろ! どう考えても山岡のスパゲティの方がウマいと思う。具が少ない雄山の作は毎日どころか皿の5分の2ほどで飽きると思う。

 そして、日本人は麺のうまさを味わうことは当然好きだが、これほど多彩な具やトッピングが存在する以上、麺を食べる時はトータルで楽しんでいるのでは。さらに、麺だけ、と言いつつも、ザルソバや釜揚げうどんにしても、ネギ・生姜・ワサビといった薬味はあるではないか。というか、麺だけだと栄養面で不安である。

自分の舌を信じて

 このように、山岡士郎と海原雄山の持論に異論反論オブジェクションしてきたが、「食」「舌」に関することは人によって千差万別である。初期の山岡が述べた通り「権威の言うことに従うな!」なのである。今回こうして私は山岡と雄山に異議を呈したが共感するものはもっと多い。

・カツオの刺身にマヨネーズをつけるとウマい
・メゴチの天ぷらはキスの天ぷらよりウマい
・ハムだけを大量に入れたサンドイッチはウマい
・麻婆豆腐に葉ニンニクを入れるとウマい
・月島・岸田屋のモツ煮込みはウマい

 皆様も自身の舌を信じ、「権威」に従属しないようにしてくださいね。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ、佐賀県唐津市在住のネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』『よくも言ってくれたよな』。最新刊は『過剰反応な人たち』(新潮新書)。

デイリー新潮編集部

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