「ワサビを醤油に溶いてはダメ」「タケノコの刺身は美味」…“愛読者”でも納得できない『美味しんぼ』の主張10選
別の炭水化物
【7】中国の調味料を使わなくては冷やし中華はウマくない
山岡と雄山による冷やし中華対決で、山岡は見事な冷やし中華を作る。だが、雄山は見た目こそ山岡と同じものを作るものの、味は雄山の方が断然おいしい、との結果に。その理由は冷やし中華は、中国製の酢などの調味料を使った方がおいしい、というものだ。
しかし、コレってどうなの……? 食べる人間は日本人なわけで、慣れ親しんだ日本の材料でもいいじゃないか。鎮江の黒酢ではなく、ミツカンの酢の方が合うと思う人もいるだろう。そもそも冷やし中華は「中華」の名は冠しているものの、日本料理である。そりゃあ日本人好みの調味料の方がおいしいですよ。あと、ゴマダレ冷やし中華って日本固有のものだろうが、雄山はコレをどう評価するのだろうか。別にゴマダレに中国の醤油を混ぜる必要なくキッコーマンでいいと思うのである。
【8】炊き方次第で、タイ米は日本料理に合う
1993年、記録的冷夏でコメが不作だった時、タイから米を緊急輸入した際のエピソード。当時、「日本米とのブレンド米」「コンニャク製品とタイ米を一緒に炊くことで日本米っぽくする」などと工夫したが、正直コレはムダである。
タイ米は日本の伝統的おかずには合わない。もはや「パンと冷奴を合わせる」といったレベルなのだ。「米」ではあるが、まったく別の炭水化物と考えた方がいい。
半生のタンを押し付けてくる
だからこそ、焼き魚、肉じゃが、納豆、辛子明太子、刺身などに無理に合わせようとする必要はない。だが、タイ米というものは、タイ料理や東南アジアの料理は当然のことながら、中国発祥の料理には無茶苦茶合う。ガパオ炒め、花ニラ炒め、空心菜炒め、麻婆豆腐、回鍋肉、青椒肉絲、タイカレーには日本米よりも合う。無理矢理「日本料理にタイ米を合わせる」という回を作ってしまったから無理が生じたのだ。米不足が翌年も続くことは考えられなかったわけで、炊き方云々ではなく、「米そのものの特徴」の問題なのである。
【9】牛タンは片面焼き
肉汁が浮き出ている状況でネギを乗せてグルッと巻いて食べるのだが、細菌が心配である。そりゃあステーキ用の肉で赤い部分があるのはいいのだが、タンで生焼けというのはどうにもこうにも抵抗があるというか……。それに、タンの醍醐味は若干焦げ目が両面についているところである。
この「片面焼き」を実践している人と焼肉に行くと、「お前はそれでいいが、こちらにその流儀を押し付けるなよ!」と毎度思ってしまう。この手の人は「おい、今が食べ時だぞ」と丁寧にこちらの皿に半生のタンを押し付けてくる。やめてくれ! 「いやぁ~、オレはよく焼くのが好きなんだよ」と説明するのも面倒くさい。
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