「ワサビを醤油に溶いてはダメ」「タケノコの刺身は美味」…“愛読者”でも納得できない『美味しんぼ』の主張10選
単に通ぶっているだけ?
このうるさい客というのは海原雄山だったのだが、正直、昆布と鰹節を大枚数百円払って買う身としては、こんな使い方はあり得ない。筆者のような貧乏性の人間は「この昆布と鰹節からできるかぎりエキスを吸い取ってやるぜ、ウヒヒ」と思うものだ。山岡は「カツオブシは煮出し過ぎると魚くさくなる。さっとダシを取るのがコツなんだ」とその真意を説明。いや、魚くさくなるのがいいのではなかろうか?
比較対象は全く違うものの、ラーメンのスープを作る際、トンコツや鶏ガラをさっとダシを取って取り出すか? 「24時間茹で続ける」とかがおいしさのウリになっているし、昆布や煮干しやアゴだしを使う場合だって徹底的に煮込むではないか。山岡のこのやり方は雄山仕込みのものらしいが、単に通ぶっているように思えてしまうのだ。数秒でうまみは出ない。
【5】長く使った土鍋は味がしみ込んでいるためおじやを作る時ダシは不要
長年使ったスッポン用の土鍋でおじやを作り、食通の金持ちを唸らせるエピソード。鍋に水を入れて沸騰させ続け、途中でご飯を入れ、醤油を入れるとスッポンの味がついていてコリャウマい! というもの。
だが、スッポンの旨味って土鍋にしみ込むんか? まぁ、しみ込むとしよう。それは構わない。だが、その旨味よりも、スッポンを煮込んで凝縮したスープを入れた方がおいしいのでは……。この鍋を使い、スッポンのスープを入れたおじやこそ最もウマいのでは、と思うのである。
そこまで効果はない
【6】チャーハンは米を空中に飛ばし、直火であぶらなくてはパラパラにならない
こんな危ないことできないし、もしも受け損ねたら大惨事である。それに、パラパラチャーハンの作り方については散々レシピサイトに登場しているし、料理人や料理研究家もそのやり方を惜しみなく開示している。
「直火であぶれ」なんて提案をする人物は滅多にいない。だったらどうするかといえば、「卵と米をあらかじめ一緒にかき混ぜておきましょう」みたいなものがある。これぞ多くの人が活用できるやり方なのだ。
米と具を空中に飛ばす山岡のやり方、マネをした方はそれなりに多くいると思うが、大体「そこまで効果はない……」「フライパン(中華鍋)で受け損ねた……」みたいな後悔にならなかっただろうか。私はそうだった。だからもう絶対に山岡流でチャーハンは作らない。そして、これはチャーハンを作る店で見ると分かるが、空中に浮かび上がらせて直火にさらす料理人なんて見たことがない! 中華鍋を揺らして若干米と具を空中に浮かせたり、後はお玉で勢いよくかき混ぜたりする程度である。
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