「ワサビを醤油に溶いてはダメ」「タケノコの刺身は美味」…“愛読者”でも納得できない『美味しんぼ』の主張10選 

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通ぶってエビスを飲んだ時期もあったが

【1】ワサビは醤油に溶いてはいけない

 親からも「汚らしいからワサビは醤油に溶かしなさんな」と言われたものだが、ここ数年、スーパーの刺身コーナーでもらう粉ワサビやチューブワサビは溶いた方が刺身全体にワサビの風味がつくように感じてしまったのである。外ではやらないと思うが、家ではこちらの方が断然優れている、と思っている。

 ちなみに『美味しんぼ』では、結婚を決めた男女が互いの父親と会食をする回がある。娘の父親はワサビ畑経営だが、男の父親が醤油にワサビを溶いたことにキレ、娘を連れて出て行ってしまう。娘がワサビ同様、この家に嫁ぐとぞんざいに扱われると思ったのだ。ワサビの溶き方で破談とは前代未聞のことである。

【2】麦芽100%のビール以外は認めない

 ドライビールブームに苦言を呈した時の論。各社のドライビールをバッサバッサ切りまくり、麦芽100%のエビスビールを大絶賛。要はビールの本場・ドイツでは水・麦芽・ホップしか原材料に認めない、ということに従った権威主義である。

 だが、ビールというものは嗜好品であり、愛飲家は様々な種類を試し、自分がもっともおいしいと思うものを飲むものだ。私も若い頃は通ぶってエビスを飲んでいた時期もあったが、どうにもこうにもどっしりし過ぎているというか重いのだ。アメリカのクアーズライトやミラーライトのように軽いビールが好きなだけに、日本ではスーパードライと黒ラベルが好きだ。「麦芽以外のものが入っているものはビールと認めん!」は言い過ぎ。麦芽比率が50%以下だと「発泡酒」になるし、25%以下であれば「その他リキュール(新ジャンル)」になる。決してメーカーは偽証をしているわけではない。

渋過ぎるし、苦過ぎる

【3】タケノコの刺身は素晴らしい

 伊豆旅行の際、民宿に泊まった山岡士郎をはじめとする東西新聞文化部ご一行。ライバルの帝都新聞は近くの大ホテルに泊まり、魚を買い占める。そのため刺身盛りが食べられなくなる。東西新聞ご一行は夜、砂浜で「磯鍋」をするのだが、幹事の富井副部長は恨めしそうにホテルを見て帝都関係者が刺身を食べているであろうことを恨みがましく思う。

 しかし、そのホテルで火災が発生! 刺身どころではなく帝都関係者は逃げ出し、結局どちらも刺身は食べられず。翌朝、山岡は刺身が食べられる場所があると両社の大勢を引き連れ山へ行く。こんなとこに刺身がある? と皆は訝しがるが、なんとタケノコを刺身にするのである。地面から少しだけ飛び出たタケノコを刺身にして、そのウマさに皆感激するのだが、正直コレはあり得ない。

 私は毎年タケノコ掘りをしているが、タケノコなんてものはいくら先端が外に出ているほど若くても生では食べられない。渋過ぎるし、苦過ぎるのだ。だから先人はタケノコを採ったら皮をむき、糠を入れたお湯で長時間茹でるという技を見つけたのである。

【4】昆布と鰹節でダシを取る場合、サッと上げると良い

 料亭で味のうるさい客に何度も吸い物を作り直されることを女将から伝えられた山岡。父・雄山が母親に対して行った仕打ちを思い出し怒りを覚え、厨房に乗り込んで自らダシを取る。その際、昆布を湯にサッと通すのと、鰹節はサッと火を通すだけで素晴らしいダシができてしまう。

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