「年収ランキングは五大商社が独占」「部長クラスで退職金1億円以上」「外資系銀行のトレーダーなら年収1億円」…令和の勝ち組となった高額所得者たちの懐事情とは
円安、物価高、上がらぬ賃金……。現代日本での格差が広がる中、高額給与を得てわが世の春を謳歌する者たちがいる。商社や自動車メーカー、銀行など、「勝ち組」たちはいかなる生活を送り、資産を形成しながら、人生設計を考えているのか。その実態に迫る。(以下は「週刊新潮」2024年7月11日号掲載の内容です)
大企業(従業員1000人以上)平均年収ランキングの2023年版と11年版を検証すると特筆すべきは商社の伸長だ。
11年、三菱商事を筆頭に五大商社はトップ10にランクインしていた。しかし、23年になると1位こそ精密機器製造販売のキーエンスに譲ったものの、以下2~6位を五大商社が独占。三菱商事が平均年収を1300万円台から1900万円台にアップさせるなど、軒並み平均年収を500万円前後、上昇させた。
また、半導体関連企業の躍進も目覚ましい。先に挙げたキーエンスのほか、東京エレクトロン(8位)ディスコ(9位)という二つの半導体製造装置メーカーも上位に食い込んでいる。
「11年と23年の平均年収ランキングを見比べますと、現在の世界情勢や昨今の社会構造の変化が如実に反映された結果といえます」
とは第一生命経済研究所の永濱利廣氏だ。
「ロシアのウクライナ侵攻などの影響もあり、世界的に戦略物資、つまり資源が足りなくなっている。その資源を扱う総合商社が好調なのはよく分かりますよね。また、生成AIブームの波に乗り、半導体関連企業も好調。資源や半導体を運ぶ物流の需要も高まっていますから、商船三井や日本郵船の平均年収も高水準にあるのです」
無論、円安の影響で「ドルベースで商売している商社などの利益が増大している側面もある」と永濱氏は指摘しつつ、一方でこうも言う。
「12年前と比較すると、テレビ局などのマスコミが凋落していますが、内需関連業種の業績の厳しさが結果に表れている。最新ランキングの上位は、外需で稼いでいる企業なのです」
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