「TWICE」「NiziU」を生んだ韓国・大手芸能事務所、株価「6割下落」の深刻とK-POP「3.0」の行方
Stray Kidsは「魔の7年」に
音楽はK-POPのスタイルだが、歌詞は英語や現地語で歌うというのが特徴だ。NiziUはこの「3.0」の方針によって日本人だけで結成したグループであり、VCHAは北米のマーケットを狙って結成されたグループとなる。しかし、オーディション当時の熱気が冷めてしまうと急激に注目度が下降するケースもあり、VCHAでは今年3月に14歳の韓国系アメリカ人・ケイリーが、健康上の問題でしばらく活動を中止するという事態に陥った。
スポーツ紙文化部記者がこう指摘する。
「TWICEが今年2月から行った世界ツアーのメキシコ、ブラジル、アメリカ公演ではオープニングアクトとして、同じJYP第3本部に所属するVCHAがステージに出演するなど期待の大きさが感じられました。ただ、ウォン安ドル高に加えて販売管理費など巨額の経費負担が発生したため、経営を圧迫しているようです。Nizi Project Season 2から誕生した7人組のNEXZ(ネクスジ)もボーイズグループ乱立の中で今一歩、飛び出せていません。TWICE同様、巨大なグローバルファンダムを持つStray Kidsのカムバックに期待がかかりますが、JYPの中で売上比重が大きいTWICE、Stray Kids以降、次世代を担う大物グローバルスターがいないところが気になります」
そのStray Kidsもデビュー7年目に入り、再契約をめぐる「魔の7年」を迎える。「魔の7年」とは、韓国ではアーティストと所属事務所が7年間の契約を結んでいることが多く、最終年にあたる7年目に移籍や解散などが多く発生する“ジンクス”をいう。Stray Kidsが仮に再契約したとしても、収益配分の側面でJYPが不利になるとみられている。韓国の証券業界からは「Stray Kidsは下半期に超大型のワールドツアーを計画しておりJYPの収益は回復するだろうが、株価の急落で損失を抱えている投資家は多い。少し株価が上がったところでは戻り待ちの売りに押されるのでは」という予想も出ている。
JYPは昨年10月、新社屋建設のためにソウル江東区高徳洞の用地を約84億円でソウル住宅都市公社から落札。今年5月に地下5階、地上22階建てとなる新社屋のデザインを発表した。1階には公園まで整備されており、完成すれば世界中のK-POPファンが聖地巡礼に訪れるだろうが、株価の動向次第では“砂上の楼閣”となりかねない。
「TWICEは7月に大阪・ヤンマースタジアム長居、東京・味の素スタジアム、神奈川・日産スタジアムで世界ツアーの日本公演を行います。NiziUも夏の東阪ファンミーティングに加え、8月31日に新潟で開催される夏フェス『音楽と髭達2024-END OF SUMMER-』に出演後、翌9月1日には東京・味の素スタジアムで開催されるエイベックス主催のフェス『a-nation』に出演するというハードスケジュールが組まれています。ファンからは『働かせ過ぎ』という声が上がるほどですよ」(前出のスポーツ紙記者)
K-POPの世界戦略は見直す時期にきているのかもしれない。