【笑うマトリョーシカ】演技派ではなかった櫻井翔が絶賛されている理由

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 6月28日にスタートしたドラマ「笑うマトリョーシカ」(TBS)が業界で注目されている。初回の世帯視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区:以下同)は5・3%と微妙だったが、SNSでは《意外に面白い》という評判の一方で《棒演技》と賛否両論ながら盛り上がりつつある。

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 原作は小説家・早見和真氏の同名小説。将来の総理候補と期待される若き政治家・清家一郎(櫻井翔=42)と彼を支える有能な秘書・鈴木俊哉(玉山鉄二=44)、一見、完璧に見える2人だが、何かがおかしい。その真相を暴こうと新聞記者・道上香苗(水川あさみ=40)が奮闘するヒューマン政治サスペンスだ。民放プロデューサーは言う。

「原作では櫻井が演じる政治家が主人公ですが、ドラマ版では記者役の水川が主演になりました。彼女は『のだめカンタービレ』(フジテレビ)や朝ドラ『ブギウギ』(NHK)など助演での出演が多い。秘書役の玉山も朝ドラ『マッサン』(NHK)に主演しましたが、民放の連ドラでは決定打と言える作品に恵まれず、上手いけど渋いといった評価でした。初回の視聴率がいまひとつだったのは、それが原因でしょう」

 そうは言っても、嵐の櫻井がいる。

「櫻井もまた2003年の『よい子の味方~新米保育士物語~』(日本テレビ)の連ドラ初主演以来、多くの作品で主演を務めてきましたが、これだという代表作がない。同じ嵐の二宮和也(41)には7月からシーズン2がスタートした『ブラックペアン』(TBS)やクリント・イーストウッドが監督した映画『硫黄島からの手紙』、松本潤(40)も昨年の大河『どうする家康』(NHK)のような代表作がある。しかし、俳優としての櫻井は、正直言って表情に乏しく、演技力に欠けるというのが業界での評価です」

 だが、人気はある。

ハマった政治家役

「櫻井が主演した昨年1月期の『大病院占拠』(日テレ)と今年1月期の『新空港占拠』(同前)は、平均視聴率こそ世帯で7%台でしたが、コア視聴率は4~5%と群を抜く数字を残しました。スポンサーが最も欲しがるティーン層やF1層(20~34歳の女性)、F2層(35~49歳の女性)に強いことがわかったのです。TBSとしてもこの数字が欲しくて彼を起用したのだと思います。ところが……」

 役がハマりすぎだと言うのだ。

「第1話では櫻井の事務所を取材で訪れた水川が、そこに飾られたマトリョーシカに目が止まり、『あの人形、先生のお顔にそっくりですね……笑顔が』と言うシーンがありました。それに櫻井が『そうですか』と笑顔で応えるのですが、開けても開けても同じ顔が出てくるマトリョーシカに、ドラマの今後の展開を凝縮したのでしょう。櫻井の演技はいつも通り表情も乏しく棒読みなのですが、このドラマに限ってはピッタリでした」

 マトリョーシカのシーンの後には、水川が先輩記者(丸山智己=49)、後輩記者(曽田陵介=26)と3人で、櫻井が演じる政治家・清家についてこんな会話を展開した。

水川:まるでAIと話しているようだった。

丸山:AI?

水川:清家です。名刺の渡し方、話し方まで完璧すぎるところが逆に不自然っていうか。でも、私が鈴木のことで切り込んだとき、AIがバグったのか、一瞬、鈴木に助けを求めるような顔をしたんです。

丸山:そうだった。

水川:清家一郎には主体性がないって言われても、しっくりきちゃうっていうか……。

曽田:それじゃ、中身、空っぽみたいじゃないですか!

 あくまで櫻井が演じた清家の印象である。

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