ウルトラマンが子育てする野球選手、手足の長い細身体形…米国発のアニメ、制作者が語る“異色ずくめ“の理由

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歴代ウルトラマンとは一線を画す姿

 今作のウルトラマンは細身で手足が長いプロポーションも特徴的。特撮作品で見られる歴代ウルトラマンの姿とは一線を画すが、ティンドル監督は「特撮では人がスーツに入るので(姿かたちには)限界がある。アニメーションでそのリアリティをそのまま再現することには興味はない」と言い切る。

 その一方で、日本のアーティストに影響を受けているのも事実。「松本零士が描くハーロックなどのキャラクター。長い脚、腕を持ち肩幅は広い。またエヴァンゲリオン。やはり手足が長く、胴体は短い」と、影響を受けた作品を並べる。

「アメコミでは肉厚なヒーローが描かれたものだが、日本の1970年代の漫画では、アメコミでは見られないようなエレガンスさを感じたよ」

 記憶に新しいところでは、2022年に封切られた映画「シン・ウルトラマン」にもインスピレーションを受けたようだ。シン・ウルトラマンの姿が最初に公開されたのは、19年12月に開催された円谷プロの最大のイベント「TSUBURAYA CONVENTION(円谷コンベンション)」。会場内に展示されていたフィギュアについて、「ずっと見ていたいと思った」とティンドル監督は言う。

「Ultraman: Rising」のフィギュアなどもバンダイから発売される予定だが、「ソフビ人形は割とベーシックな体型。一方、魂ネイションズ (バンダイのハイターゲット向けのフィギュアブランド)では、僕らの資料をそのまま使ったフィギュアが出るようだ」とアオシマ共同監督は笑顔で説明した。

新たな作品も

 今作についてアオシマ共同監督は「まずはウルトラマンを知らない人に知ってほしい。テーマが家族であるのは感情移入できるためのもの。ウルトラマンの存在は何となく知っていても、シリーズを見たことない人にも触れてほしい。もちろん、シリーズのファンにも、細かいオマージュがたくさん入っていて楽しんでもらえるしね」と話す。

 さらに「子育てにまつわる責任において、人生の挑戦とのバランスをどうとっていくかなど、話し合うきっかけになれば」とも。

 ティンドル監督は「この次、さらに次へとアイデアはすでに温めている。今回の『Ultraman: Rising』がヒットすればそれを実現していきたいし、たとえ実現しようがすまいが、生涯ウルトラマンのファンだ」と明言。作品の完成に向けて激務が続いたため、昨年放送・配信された「ウルトラマンブレーザー」を「やっと見られるよ。面白い作品だったと聞いているので楽しみ」と目尻を下げた。

 アオシマ共同監督も「新しいウルトラマンのアイデアをさらに掘り下げたい。それがテレビであれ、映画であれ」と強調。ティンドル監督は「そうだ、新しい『ウルトラQ』を実写版でつくってみたいんだ。大好きな作品なので」とも付け加えた。

 ウルトラマンシリーズにおいて、新たな世界観を広げた今作。2人が胸に温める次回作の実現が大いに待たれるところだ。

デイリー新潮編集部

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