フジ「反町隆史」VS テレ朝「遠藤憲一」 新たに始まる仁義なきドラマ対決 「視聴率は時代遅れ」のウソ

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他局の番組編成を注視

 なぜ、テレ朝は男性が主演する強い作品を用意したのか? これもテレ朝が裏環境を見たから。テレ朝はフジが火曜午後9時台に連ドラ枠を設けることを知っていた。定着させたくないので、強い作品でつぶしてしまおうと考えた。わざわざ視聴者層が重なりやすい男性の主演作にした。各局はライバル局がどんな番組編成をしてくるのかを常に探っている。

 やはり裏環境を見たのがテレ東。現在、金曜午後8時台に連ドラ枠を持つが、これを10月から同じ金曜の同9時台に移動する。フジが連ドラをやめる放送枠である。フジがやめるから移す。

 テレ東の金曜午後8時台の連ドラ枠は、もともと「三匹のおっさん~正義の味方、見参!!~」(2014年)など中高年向け作品を放送していた。それを昨年4月から視聴者ターゲットを若い世代にも広げたところ、裏目に出てしまい、途端に視聴率が落ちた。

 たとえば篠原涼子と山崎育三郎(38)がダブル主演した「ハイエナ」(昨年10~12月)の同11月17日放送は個人1.4%、コア0.4%。厳しすぎる。今年6月まで放送された「ダブルチート」も個人で2%、コアで1%を割ってしまった。やはり苦しい。

 どんなデマが流れていようが、今も昔もテレビが視聴率で動くのは動かしようがない事実なので、これではやっていけない。テレ東はフジが連ドラをやめた放送枠に滑り込む形で連ドラを移す。

 フジが連ドラ枠にする火曜午後9時台は現在、お笑いコンビ・アンタッチャブルがMCで関テレが制作するバラエティ「アンタッチャブルの早速行ってみた」を放送中。昨年4月から「ひらけ!パンドラの箱 アンタッチャブるTV」のタイトルで放送していたが、視聴率で大苦戦したため、今年4月からリニューアルした。

 だが、やはり苦戦中であり、6月18日放送の視聴率は個人1.5%、コア1.4%。民放5局中、個人は最下位で、コアは4位だった。

 好むと好まざるとに関わらず、民放は視聴率がすべて。改革しなくてはならなかった。

高堀冬彦(たかほりふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年にスポーツニッポン新聞社に入社し、放送担当記者、専門委員。2015年に毎日新聞出版社に入社し、サンデー毎日編集次長。2019年に独立。前放送批評懇談会出版編集委員。

デイリー新潮編集部

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