シェフラーの“逮捕”に続き、コルダに「信じがたい異変と出来事」 ゴルフ世界ランク1位を襲う災難の嵐

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コーヒーショップで見知らぬ犬に噛まれ

 その異変に追い撃ちをかけるように、今度は予期せぬ災難が彼女の身に降りかかった。全米女子プロで予選落ちした後、コルダはシアトル市内で「犬に噛まれた」とのことで、翌週にロンドンに赴いて出場するはずだったLET(欧州女子ツアー)の大会を欠場する事態になった。

 コルダがSNSで発信した声明には、苦渋の決断が記されていた。

「傷の治療を受けて回復するまでには、時間が必要です。LETのアラムコ・チーム・シリーズは大好きな大会であり、スポンサー企業にも申し訳ない気持ちでいっぱいですが、タイトル・ディフェンドは諦め、欠場することを決めました。とても残念です」

 昨年大会を制したコルダは、今年の大会にディフェンディング・チャンピオンとして臨むはずだった。犬に噛まれた傷は、それを断念せざるを得ないほど深い傷だったのだろうか。

 米ゴルフウィークによると、コルダはシアトル市内のコーヒーショップに立ち寄った際、そこで見知らぬ犬に噛まれたとのこと。病院で手当を受けた後、コルダはLPGA選手仲間のアリソン・リーに連絡を取ってアドバイスを求めたそうだ。

 というのも、かつてリーはボーイフレンドが連れていたレスキュー犬に噛まれ、その傷が予想外に悪化して、最終的には手術を受けた経験がある。それゆえコルダは、経験者であるリーに自分の状況や症状を伝え、リーからさまざまなアドバイスをもらったのだそうだ。

 犬に噛まれた傷は、たとえ小さくても感染症に発展する危険性があり、昨今は劇症型の感染症も多く見られるという。コルダは「犬に噛まれたぐらいで」と軽く見るのではなく、万が一を考えて慎重に対応し、大事なタイトル・ディフェンドを泣く泣く諦めたということなのだろう。

嫌な流れを断ち切ることができるか

 万全を期したおかげで、コルダの傷は順調に回復した様子だ。今週フランスで開催されるメジャー大会のエビアン選手権に出場するため、すでに現地入りしている。

 3連続で予選落ちした挙げ句に犬に噛まれて試合を欠場という嫌な流れを、果たして今週のコルダは断ち切ることができるかどうか。そして、再び最強のコルダに戻り、世界ナンバー1らしいゴルフを披露することができるかどうか。

 そこに、世界のゴルフファンと関係者は注目している。

 それにしても、男子も女子も世界ランキング1位の選手が「えっ? ウソでしょ?」と首を傾げたくなるような出来事を続けざまに経験したことは、理屈抜きで大きな驚きだった。

 米メディアによると、シェフラーに手錠をかけた警官は、ゴルフにはまったく興味が無かったという。逮捕後も「シェフラーって誰? 何? プロゴルファー?」と言っていたとのことで、世界ランキング1位の王者を陥れるような意図は微塵も感じられなかったそうである。

 コルダが襲われた災難も、相手は人間ではなく犬。世界ランキング1位の女王に対するジェラシーや嫌がらせとは無関係なのだろう。

 となると、シェフラーもコルダも「不運だった」「災難だった」以外に説明のしようがなく、今後の再発防止策はせいぜい「お祓い」「厄払い」というところだろうか。

舩越園子(ふなこし・そのこ)
ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学客員教授。東京都出身。早稲田大学政治経済学部経済学科卒。1993年に渡米し、在米ゴルフジャーナリストとして25年間、現地で取材を続けてきた。2019年から拠点を日本へ移し、執筆活動のほか、講演やTV・ラジオにも活躍の場を広げている。『王者たちの素顔』(実業之日本社)、『ゴルフの森』(楓書店)、『才能は有限努力は無限 松山英樹の朴訥力』(東邦出版)など著書訳書多数。1995年以来のタイガー・ウッズ取材の集大成となる最新刊『TIGER WORDS タイガー・ウッズ 復活の言霊』(徳間書店)が好評発売中。

デイリー新潮編集部

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