坂本冬美、30年以上焦がれ続けた桑田佳祐への想いが“ラブレター”で成就した瞬間を振り返る「お見かけするやいなや、突進しました(笑)」

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新曲「ほろ酔い満月」が人気上昇中! 坂本冬美の“推し曲”は……

 なお、’24年の最新シングル「ほろ酔い満月」は、今回のランキングを集計した5月15日時点では99位だったが、この5月、6月と坂本冬美の中では月間再生回数7位から8位をキープしており、6月23日現在、81位まで急上昇。累計再生回数も7・5万回を超えた。

「新曲が頑張っていますね!これは、杉本眞人先生が昭和時代に書かれてヒットした『お久しぶりね』や『今さらジロー』(いずれも歌唱は小柳ルミ子)のような、ノリノリな曲の令和バージョンなので、カラオケでも ♪ちゃらんぽらんで、ほら~♪ と、みなさん楽しく歌いやすいと思います。

 カップリング曲の『淋しがり』は、こちらも昭和で言うと梓みちよさんの『二人でお酒を』をイメージさせる、ゆったりとした曲ですね。このシングルで今年いっぱい頑張りますので、よろしくお願いします!」

 そして、ランキング全体を振り返って、もっと聴いてほしい曲があるか尋ねてみると、

「53位の『風に立つ』や、97位の『桜の如く』は、コンサートでもよく歌っていて盛り上がる曲なんです。特に『風に立つ』は終盤でもよく歌う曲なので、もっと上位だと思っていました。……ということは、サブスクで聴いてくださるのはお若い方が中心というか、ふだんコンサートにいらしていない方が多いんでしょうかね」

 とのこと。「風に立つ」(作詞:たかたかし、作曲:弦哲也)は、 ♪そうさ、人生やるっきゃないさ~♪ と自らを鼓舞している応援歌で、坂本冬美が歌うことで、より清々しく心に響く傑作だ。

 こうしてシングルだけで作家陣を見ても、松井五郎、林あまり、阿久悠、吉田旺、たかたかし、三木たかし、弦哲也、杉本眞人、宇崎竜童、桑田佳祐、そして恩師の猪俣公章と、さまざまな話題曲をヒットさせている顔ぶればかりで驚かされる。しかも、その作品の多くが、ひと癖もふた癖もある内容で、それを坂本が次々と歌いこなしていく様子はまるで女剣士のようで、聴いていてとても心地いい。

 さらに、坂本冬美の場合、他アーティストとのコラボ曲やカバー曲でも人気の作品が大量にあるので、インタビュー第3回以降で見ていこう。

《INFORMATION》
シングル「ほろ酔い満月」(カップリング:「淋しがり」)、カバーアルバム『想いびと』発売中!

◎『想いびと』収録曲 
M1.「ひまわりの約束」 作詞・作曲:秦 基博 編曲:城戸紘志
M2.「恋の予感」 作詞:井上陽水 作曲:玉置浩二 編曲:佐々木博史
M3. 「サクラ、散ル…」 作詞・作曲:GACKT/YOHIO 編曲:城戸紘志
M4. 「月」 作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:宮野幸子
M5. 「千の風になって」 日本語詞・作曲:新井 満 編曲:新倉一梓
M6. 「身も心も」 作詞:阿木燿子 作曲:宇崎竜童 編曲:野村陽一郎
M7. 「One more time, One more chance」 作詞・作曲:山崎将義 編曲:萩田光雄
M8. 「Oh! クラウディア」 作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:萩田光雄
M9. 「心 はなれて」 作詞・作曲:小田和正 編曲:佐々木博史
M10.「花瓶の花」 作詞・作曲:石崎ひゅーい 編曲:宮野幸子

(取材・文:人と音楽をつなげたい音楽マーケッター・臼井孝)

坂本冬美(さかもと・ふゆみ)
1967年3月30日生まれ、和歌山県出身。’87年3月4日、シングル「あばれ太鼓」でデビューし、同年に数々の新人賞を受賞。翌’88年には「祝い酒」でNHK紅白歌合戦に初出場。以来、’23年までに35回出場している。代表作に「火の国の女」「夜桜お七」「また君に恋してる」「ブッダのように私は死んだ」があり、’90年には忌野清志郎、細野晴臣とHISを結成するなど、ジャンルを越えた活動にも精力的。’24年にはシングル「ほろ酔い満月」と、カバーアルバム『想いびと』をリリース。

臼井孝(うすい・たかし)
人と音楽をつなげたい音楽マーケッター。1968年、京都市生まれ。京都大学大学院理学研究科卒業。総合化学会社、音楽系の広告代理店を経て、'05年に『T2U音楽研究所』を設立し独立。以来、音楽市場やヒットチャートの分析執筆や、プレイリスト「おとラボ」など配信サイトでの選曲、CDの企画や解説を手がける。著書に『記録と記憶で読み解くJ-POPヒット列伝』(いそっぷ社)、ラジオ番組『渋谷いきいき倶楽部』(渋谷のラジオ)に出演中。データに愛と情熱を注いで音楽を届けるのがライフワーク。

デイリー新潮編集部

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