坂本冬美、30年以上焦がれ続けた桑田佳祐への想いが“ラブレター”で成就した瞬間を振り返る「お見かけするやいなや、突進しました(笑)」

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「俺でいいのか」「蛍の提灯」、大御所の作家陣との思い出を語る

 Spotifyの順位に戻ると、15位は’19年のシングル「俺でいいのか」。 ♪俺でいいのか/いいのか俺で~♪ と問いかける歌詞が耳に残る、不器用な男性が相方に向けたムーディーな“しあわせ演歌”だ。作詞を担当した吉田旺は、ちあきなおみ「喝采」や、五木ひろし「ふたりの夜明け」など、伝説となる昭和の名曲を多数手がけ、’07年には紫綬褒章も受勲している大御所の作詞家である。

「『俺でいいのか』は、カラオケ好きの方々にとっても人気なので、サブスクでも上位なんでしょうね。吉田旺先生とお仕事させていただくようになったのは、’15年のシングル『風うた』からですね。『風うた』の作曲者である杉本眞人先生が、“吉田先生に一度頼んでみて”とアドバイスをしてくださったのがきっかけでした。この曲は、吉田先生が長年連れ添ってらっしゃる奥様を想って書かれた歌で、とても素敵ですよね。ですから、ご自身の気持ちを重ねて歌ったり聴いたりしてくださる男性が多いんじゃないかしら」

 さらにSpotify29位には、デビュー10周年を記念した’96年のシングルで、なんとレゲエ調の演歌という斬新な「螢の提灯」がランクイン。当時、オリコン最高50位だったが、ここでは坂本の’90年代の代表曲「火の国の女」(オリコン最高19位)よりも上位にあり、大健闘と言えるだろう。

「この結果も嬉しいですね~!歌詞が阿久悠先生、曲が宇崎竜童さんで、ものすごい歌を作ってくださったな……と今でも本当に感謝しています。リリースは『夜桜お七』の後でしたから、レゲエが来ようと、(カップリングの『乱~らん~』のような)スケール感のあるバラードが来ようと、もう誰も驚かなくなっていました(笑)。

 この時、阿久悠先生が作詞、三木たかし先生と宇崎竜童さんが作曲で10曲集めたのが『冬美十艶(ふゆみ・といろ)』というアルバムで、『螢の提灯』はその中の1曲なんです。他にも、『乱~らん~』は私も大好きなバラードで、リサイタルなどではよく歌っていますし、『港祭の夜は更けて』という、サンバっぽい部分がありつつ、ねぶた祭りのニュアンスが入っている歌もあって。この曲は、百万人もいるお祭り終わりの道中で、意中の“あんた”を見つけるまでの少し切ないストーリーが素敵なんです」

 ちなみに、この『冬美十艶』はアルバム全体としては未配信だが、’24年6月現時点では、シングルや他のアルバムに「乱~らん~」「螢の提灯」「雨ふり小夜曲(セレナーデ)」「好きです日本~四季の絵本~」「港祭りの世は更けて」「朧月夜に死にましょう」の6曲はサブスク解禁されているので、配信でもその大胆な作風(一言で言えば“セリフ入りラテン演歌”)に触れることができる。

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